宮島昌之
部分廃線した北陸鉄道石川線の鶴来~加賀一の宮間の廃線跡。鶴来駅すぐ近くの場所に突如現れた「売地」の看板。実は9月21日から開催中の「発酵文化芸術祭 金沢」のアート作品だ。同イベントの開催を知らなかった私は、驚きと共に目を擦り二度見してしまった。
作品の傍には、作品のタイトルと作者、説明が書かれた紹介パネルが設置されている。
‘24.10.13 北陸鉄道石川線 鶴来~中鶴来(2点共)
2009年11月に部分廃線となった北陸鉄道石川線の鶴来~加賀一の宮間では、今も線路や架線など当時の姿を残す箇所が点在している。
私が2024年10月13日に鶴来駅構内で開催された既報の「ほくてつ電車まつり2024」に行った際、久しぶりに鶴来駅すぐ近くにある廃線跡の様子を見に行ったのだが、まさか?!の「売地」の看板が建てられていた。
「驚き!?」と共に目を擦り自分の目を疑ってしまったが、実は2024年9月21日~12月8日まで開催中の『発酵文化芸術祭 金沢』に参加のアーティスト、深田拓哉氏が製作したアート作品であった。
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●アーティスト
深田拓哉
●タイトル
《ここはぼくたちのもの(そしてそうじゃない)》
●作品の説明
「日常風景の中で、見つけた朽ちた看板や構造物など、用途や役割を失いながらも存在し続けるものをモチーフに、それらを未来の遺跡として作品化している。」
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改めて見てみると、売地看板の固定具が頑丈な鉄骨組みで、不動産会社の電話番号も明らかに実在しない番号であった。
私はレイル・ファンであることから、幸運にも強烈な違和感を感じたが、私の様に芸術祭の開催を知らなかった来訪客の中には、作品にまったく違和感を感じず、ただ「売り出されているんだ」と見て通り過ぎる方もいるのではないか。それが「作者の狙い」のひとつであれば、御の字なのかもしれない。
また、同じく石川線の野町駅にある現在使用されていない「2番線ホーム」にも、同じ深田拓哉氏の作品が展示されているそうだ。
今回写真で紹介した作品を含め、北陸鉄道石川線を利用の際には、ぜひ作品を鑑賞し楽しんでみてはいかがだろうか。
最後に、今回の話題は対象がアート作品であるため、権利関係確認や校正で主催者側と日数を要したため投稿が遅れてしまった。お詫び申し述べる。
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