石田圭一(大阪府)
新大阪駅に到着した283系「オーシャンアロー」で運転の「くろしお」号。京都側にイルカ顔が向くのは、このHB631編成のみである。
後方に繋がっていたのは6両のHB602編成であった。
1号車(クロ282-2)にはステップが増設されている。
9号車(クロ283-1)にはステップは設けられていない。
‘22.8.14 東海道本線 新大阪(4点共)
2022年8月の帰省行楽シーズンに対応すべく、関西の特急列車では増結が行われていた。中でも283系「オーシャンアロー」は、多客時増結を行うとグリーン車が2両連結される編成が発生することで知られている。
283系は1996年に18両がデビューした。6両の基本編成と3両の付属編成が2本ずつである。基本編成は「Aタイプ」、付属編成は「Bタイプ」「Cタイプ」と呼ばれ、「Aタイプ」「Cタイプ」にグリーン車がある。「Cタイプ」にグリーン車があるのは、「Aタイプ」の検査時などに「Bタイプ」+「Cタイプ」で補完するためである。
283系はこの18両以降は増備されなかったため、多客時にはフル稼働になり、基本+付属で2編成が組まれると「Aタイプ」+「Cタイプ」編成にはグリーン車が2両組み込まれることになる。最近では在来線特急は短編成化が進み半室グリーン車も珍しくない中で、運用の都合とはいえ2両のグリーン車が連結されているのは豪華である。
グリーン車の車内はJR西日本標準の2+1列配置であるが、車内前後で配置が入れ替わっている。これは本形式の特徴である振り子動作に配慮したもので、重量バランスを左右均一にするための配置である。
制御付き自然振り子方式を取り入れた283系も、残念ながら今では振り子装置は稼働していないようで、一部車両の乗降扉には張り出しステップが設けられている。車体傾斜に合わせて車体裾が絞られているため、ホームと車体との隙間が広くなるのが振り子車両の問題点であったが、振り子動作を止めることで、ステップの追設が可能になったと思われる。また、283系の検査時には287系が代走を行っていることからも、振り子装置は稼働させなくても運用できるダイヤになっているのではないだろうか。
気が付けば「くろしお」の最古参となっている283系「オーシャンアロー」。登場から25年以上が過ぎている。特徴的な外観だけでなく、3号車の展望ラウンジや貫通先頭車でも前面眺望が楽しめる点など、設備にも魅力の多い車両である。今後も末永く活躍して欲しい。
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