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鉄道投稿情報局

国鉄西成線立体化で行われた日本初(世界初?)の工法とは…?

JR西日本 2022.07.22

石田圭一(大阪府)

大阪市福島区吉野3丁目(野田駅西側)を通過する323系。高架橋にある等間隔の四角い穴が直上高架方式の名残。

‘22.7.18 大阪環状線 野田~西九条

 2021年は「大阪環状線~つながって60年~」としてロゴマークと共に開業60周年が注目されていた大阪環状線。その歴史に「日本初」(もしかすると「世界初」)を見つけたので紹介させていただきたい。

 大阪環状線の成り立ちの概要は、国鉄の城東線と西成線、関西本線と大阪臨港線を利用し、大阪臨港線の境川信号場から西九条間を新設して大阪市内を一周する路線が計画され、1961年4月25日に大阪環状線が開通した。しかしその時は元西成線区間(大阪~西九条間)が地上線だったため、周回運転が出来ず「逆『の』の字」運転での開通だった。

 開通後、西成線区間の立体化工事が行われたのだが、この区間は道路や民家が密集していて高架にするための用地が確保できないため、営業中の線路の上に高架橋を組み立てる「直上高架方式(当時は「跨ぎ高架橋」と称した)」が日本で初めて採用されて高架化され、1964年3月22日から環状運転が開始された。

 この「直上高架方式(跨ぎ高架橋)」は、国鉄技術陣の総力をあげて行われた「日本初」であることは確実であるが、『大阪環状線 御堂筋線 古地図さんぽ』(フォト・パブリッシング刊)の111ページに掲載されている1961年国鉄発行のしおりの「西成線高架」には「世界でも初めての工法を(中略)検討しています」と記載されているので「世界初」であった可能性も高いと思われる。

 この工事の様子は『近畿地方の日本国有鉄道:大阪・天王寺・福知山鉄道管理局史』(大阪・天王寺・福知山鉄道管理局史編集委員会発行)の81ページに写真が掲載されている。

※今回投稿の参考文献(大阪市立中央図書館で借り出し)
・近畿地方の日本国有鉄道:大阪・天王寺・福知山鉄道管理局史(大阪・天王寺・福知山鉄道管理局史編集委員会)
・大阪環状線 御堂筋線 古地図さんぽ(フォト・パブリッシング)
・関西鉄道遺産~私鉄と国鉄が競った技術史(講談社・ブルーバックス)

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