宮島昌之(石川県)
アート作品の制作の為、旧鵜飼駅構内に搬入されたキハ605。
‘17.7.12 のと鉄道旧能登線 鵜飼(ホームより撮影)
ホーム下り線の一角に搬入。長さは短いながらも約10年ぶりにレールが敷設された。
‘17.7.12 のと鉄道旧能登線 鵜飼(ホームより撮影)
7月11日、のと鉄道旧能登線(廃線)の鵜飼駅構内に、もと紀州鉄道キハ605(保存車)が搬入された。
これは、今年9月3日から10月22日まで石川県珠洲市全域を会場として開催される「奥能登国際芸術祭」で、同駅が作品の展示場所として使用されることに伴うものであり、キハ605は同駅へ出展するフランス在住の作家アデル・アブデスメッドさんの作品の一部として使用される。
今後は市民やサポーターの協力を得てアーティストの制作活動が本格的に始まるものと思われ、同車がどのような形でアート作品に活かされるのか注目される。このほか、旧能登線飯田駅・上戸駅・蛸島駅でも、それぞれ異なる作家による作品が出展される予定である。
なお、同駅に鉄道車輌(気動車)が姿を見せたのは2005(平成17)年春の廃線以来で、廃止後に全て撤去されたレールが、今回の車輌搬入にあたって据え付け場所に再び敷設された。駅ホームには沿線の住民や能登線の運行当時を知らない子ども達が見学に訪れた。
キハ605は1952(昭和27)年に常磐炭礦専用鉄道の通勤車輌として宇都宮車輌(のちの富士重工業宇都宮製作所)で製造され、1959(昭和34)年に岡山臨港鐵道へ移りキハ1003を名乗った。紀州鉄道への譲渡は1984(昭和59)年のことで、翌年にキハ605となる。のちにワンマン化改造が行われたが、同鉄道では常時紀伊御坊構内に留置され、一度も営業運転に就くことなく2000(平成12)年に廃車、保存団体へ譲渡された。その後は有田鉄道金屋口駅構内(現:有田川町鉄道公園)での保存を経て運輸業者に引き取られ、2015(平成27)年に高岡市内へ搬入、動態復元へむけて修復が行われるなどしていた。
●関連記事:編集長敬白「有田川町鉄道交流館オープン。(下)」(2010年の記事)
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