宮島昌之(石川県)
ブロック積みが特徴の駅舎は当時のままの姿であった。
‘11.10.22 のと鉄道 旧能登線 甲
ホームや待合室、線路跡が雑草で覆われつつある駅も増えている。
‘11.10.22 のと鉄道 旧能登線 甲
片流れ屋根の待合室は能登線の駅に多い特徴。
‘11.10.22 のと鉄道 旧能登線 藤波
コンクリート部分に刻まれた「1955-7」の文字。路盤や橋台など建設当時の年代を垣間見ることもできる。
‘11.10.22 のと鉄道 旧能登線 中居―比良
のと鉄道能登線が廃止されたのは2005年(平成17年)の春で、早6年半が経過しようとしているが、先日も波並駅にレイル・ファンとみられる方が駅待合室の写真を撮影している光景を見ることができた。さまざまな話題が尽きない「のと鉄道」、全国から注目されているためか、廃線区間の遺構などに注目し、実際に現地を訪ねるレイル・ファンも少なくないようだ。当時の駅舎(待合室)やホーム、鉄橋の跡(橋台や橋脚)、トンネル(いろは順のひらがなで呼ばれる)、路盤(盛り土)などが数多く現存している点がファンを引き付ける魅力のひとつと考えられる。さて、廃線跡の状況だが、一部を除きレールはすべて撤去され、トンネルの入り口には柵を設置して立ち入り禁止とし(恋路駅近くの酒造会社がトンネル内を酒蔵などで再利用する動きもある)、鉄橋の橋桁も取り外され、更に6年半という時の流れには逆らえず、ホームや線路跡が雑草で覆われた駅もあるのが現状で、痛々しく見るに忍びない状態だが、その一方で、珠洲駅や鵜飼駅、松波駅などのように、駅舎を保存改築した上で再活用している駅も存在する。また、NT100形気動車のうち、波並―藤波間でNT123が、蛸島駅付近でNT102がそれぞれ保存されている。
同線のすべての遺構を訪ね歩くのはとても大変だが、主要道路と並行して隣接するポイントもいくつかあり、雰囲気だけ楽しめれば十分な場合、車を運転したり路線バスに乗っていても充分に目視で確認できる。「比良駅前」「藤波駅口」といったバス停や、駅への道順を案内する看板がいまだに道路に現存するなど、駅の場所を探す手がかりもあり、中居駅や七見駅、恋路駅などでは至近距離にPAがあるので、車を止めて徒歩で移動し見学できる場合もある。
なお、廃線跡なだけに単なる駅の訪問であっても足元が悪い場合があり、十分な注意が必要であるほか、立ち入り禁止区域や危険な場所には絶対に入らないようにしてほしい。さらに、かつて急行が停車した主要駅や前記の例外を除き、駅前に駐車スペースがない場合がほとんどなので、注意が必要。
※参照
●【のと鉄道】七尾線一部廃止済区間での保存施設の現況