宮島昌之(石川県)
ワーレントラス構造で知られる「手取川橋梁」に防風柵が設置された。橋梁を渡る列車は海側から殆ど見えなくなった。
‘15.10.29 北陸本線 美川―小舞子
防風柵には風の逃げ道となる網目状の穴が開けられ若干透けては見える。風の遮へい率は60%とのことである。
‘15.10.29 北陸本線 美川―小舞子
JR西日本では、今年3月に金沢まで開業した北陸新幹線に接続する特急列車〈サンダーバード〉、〈しらさぎ〉など、金沢以西の輸送品質を向上させるため、強風による運転規制が多発している手取川(てどりがわ)橋梁と梯川(かけはしがわ)橋梁の海側に防風柵を整備することになり、現在工事が進められている。
このうち、美川―小舞子間にある手取川橋梁(約0.9km)では防風柵の設置がほぼ完了したものとみられ、橋梁部分のほか前後数百メートルの住宅地や工場などが並ぶ範囲まで延長配置されていた。撮影した29日には、防風柵の固定据え付けと思われる締め付け作業を行なっていた。また、今回の設置に関連する工事かは不明であるが、橋梁の上部でも足場を設けて作業を行っていた。
防風柵の構造は、風の逃げ道となる細かい網目状の穴が開いた長方形のボードを並べて設置して、2014年12月9日発表のプレスリリースによると、風の遮へい率は60%、高さはレール面上2.0メートルと公表されている。
さて、手取川橋梁といえば、橋梁からの列車飛び出しの画や、海側を並行する公道の美川大橋から霊峰白山を背景に橋梁を渡る列車を撮影できるレイル・ファンのスポットで、白山手取川ジオパークの公式ウェブサイトでもビュースポット「白山と手取川」として同様の旨が紹介されている。しかしながら、今回の防風柵工事で列車が殆ど隠れてしまい、同じような景色を望むことはできなくなってしまった。
なお、2015年1月28日のリリースによると梯川橋梁の防風柵設置工事時期は、2016年度となる旨が発表されており、それぞれ完成後は風速計の測定値から判断する「運転見合わせ」の基準が現行の25m/s以上から、改正後は30m/s以上に緩和されることになっている。