圓山伸宏(東京都)
EL2000型に牽引され火力発電所を目指す褐炭輸送列車。‘12.4.28 RWE ハンバッハ線 ギーアズベルク通り
EL1型に牽引され鉱山をあとにする褐炭輸送列車。‘12.4.28 RWE 南北線 フリンマースドルフ近郊
山元の信号所で交換する新旧機関車。‘12.4.28 RWE 南北線 ガルツヴァイラー鉱山入口
ドイツ西部の電力会社RWE社は、ケルン西方にある自社の鉱山から石炭火力発電所まで、燃料の石炭を輸送するための貨物専用鉄道を保有している。
この鉄道は、本線ともいえる全長およそ32kmの南北線と、支線の全長およそ22kmのハンバッハ線から成り、交流6,600V/50Hzで複線電化されている。南北線はガルツヴァイラー鉱山から、ハンバッハ線はハンバッハ鉱山からの褐炭(炭素純度の低い石炭)を、荷重90tの貨車14輌に積載し、発電所までピストン輸送している。
貨車の牽引には、1954年から1965年にかけて製造された緑色のEL1型と、1999年に製造された青色のEL2000型の2種類の電気機関車(共に自重140tクラスのD型機)が使用されている。鉱山の積み込み設備では、貨車上部から石炭を落とすため架線を張ることができないことから、機関車は車輌側部に設けられた別の架線から集電して走行する。このため、EL1・EL2000型いずれも、屋根上には通常のパンタグラフ以外に、斜め方向に伸びる小型のパンタグラフを左右各1基装備している。
またEL1・EL2000型は貨車と固定編成を組んでおり、貨車連結面側には運転台が無い。さらに鉱山・発電所内には方向転換用のループ線が設けられているため、上下列車とも機関車が先頭に立って運行されることが多い。ただし、ガルツヴァイラー鉱山内にはループ線が無いため、南北線では貨車が先頭に立つ推進運転も行なわれる。なお機関車のキャブが左右に拡張されているのは、推進運転時に前方の信号機を確認するためである。
2022年までの全原子力発電所の停止を発表しているドイツでは、当面の間は石炭火力発電所の重要度が増すものと思われ、この鉄道は今後も重要な役割を担っていくであろう。
【参考】
・AFPBBNews 2011年5月30日版
・RWE社ホームページ http://www.rwe.com/
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