宮島昌之

金沢貨物ターミナルを出発した3095列車。災害廃棄物の「広域処理」で貨物列車による輸送を始めてからちょうど1年、月でなく年単位となったのは、被害の深刻さを如実に物語っている。

最後尾から2両目のコキ車には、東京都所有のUM8A形コンテナが左右に合わせて4個。

最後尾のコキ車にも、同種のコンテナが2個。
‘25.9.25 IRいしかわ鉄道 東金沢(3点共)
既報の通り「令和6年能登半島地震」の被災により住居など建物の公費・自費解体で生じた災害廃棄物は、量が膨大で石川県内での処理には限度があることから、要請により他の自治体に処理を委託する「広域処理」が進められている。
このうち、可燃物や木くずを受入表明した東京都や神奈川県川崎市へ向け、鉄道貨物で輸送を始めてから、2025年9月25日でちょうど1年を迎えた。この日も、3095列車には災害廃棄物を入れたと思われる東京都所有のUM8A形コンテナ6個を積み、金沢貨物ターミナルを出発した。
石川県が公表した災害廃棄物処理実行計画「公費解体加速化プラン」の進捗状況(2025年7月末現在)によると、これまで鉄道貨物による受入実績は、自治体では東京都が13自治体・神奈川県が1自治体、県外民間処理施設へは埼玉県が2業者・千葉県が4業者・東京都が1業者となっており、焼却(サーマル発電)、RPF(固形燃料)のほか再生資源・バイオマス燃料などに生まれ変わるなど、環境にやさしい取り組みも行われているとのこと。
同プラン開始以降公費解体申請数の増加や「2024年奥能登豪雨」による被害も加わり、解体見込棟数が増加したものの、2025年8月末現在で解体見込棟数の82.1%の解体を完了して、全数解体完了は、同10月末までを目標としている。
災害廃棄物の処理は、来年2026年3月の完了を目標としているが、公費解体がピークを越え可燃物の発生量が減少の見込みであることから、県外自治体への広域処理は2025年10月で終了予定とのことで、これに伴い鉄道貨物による輸送は同年9月で終了する予定とのことだ。
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P:宮島昌之
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