宮島昌之(石川県)
復元された「ト20000形」。1日限りの一般公開が行われた。
‘16.10.30 福井県敦賀市
標記も再現。車両番号は架空の「ト27409」が振られた。
‘16.10.30 福井県敦賀市
長年の使用で劣化抜け落ちた床板の張り替えも実施。(許可を得て撮影)
‘16.10.30 福井県敦賀市
張り替え前の床板も展示。傷みが酷かった状況がうかがえる。
‘16.10.30 福井県敦賀市
1959(昭和34)年に形式が消滅し現存しない、国内初の鋼製無蓋貨車「ト20000形」を復元するプロジェクトが、今夏よりレイル・ファンの有志で進められていた。その集大成として、同貨車を主役に「日本一小さな鉄道公園」をめざした、私設の「新疋田ミニ鉄道公園」が福井県敦賀市疋田地内に設けられ、2016年10月30日に開園した。合わせて1日限りの一般公開が行われ、多くのレイル・ファンや地元住民等が訪れた。
地元報道や配布資料などによると、同貨車は大井川鐵道で解体寸前だったト100形の「ト111」を取得救出したもので、2016年8月29日に同園の敷地に搬入した。その後、ト100形とは設計が共通で、地元敦賀地域を走行したゆかりのあるト20000形を再び現代に甦らせようと「幻のト20000形 復元プロジェクト」を発起、逐次作業を進めていたものである。
復元作業では、錆び落としや黒色で綺麗に塗り直した他、朽ちた床板の張り替え、欠損部(ブレーキホースおよび連結器の部品)の補修も行われたとのことである。さらに白色の文字で標記も再現され、車両番号は同形式の車歴に抵触しないよう架空の「ト27409」が振られた。
同園がある場所は、周辺に屈指の有名撮影地が点在することで知られる北陸本線の新疋田駅から、北西の高台にある団地の一角に位置し、園内から新疋田変電所や走行する列車が見渡せるロケーションも魅力的である。
なお有志より、安全を考慮して次回の一般公開(来年秋を予定)など指定された日以外は同園内へ立ち入らないよう呼び掛けている(雪や雨などから貨車を守るため、今公開の後すぐにシートで全体を覆う作業が実施された)。また今後、同貨車を敦賀市に寄贈する旨を検討しているとのことである。