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名鉄3850系、3900系電車用として製作されたゲルリッツ式の台車。軸箱下部で両翼の軸ばねを受ける一般的なウイングばねに対し、新扶桑金属工業(1952年5月に戦前と同じ住友金属工業に改称)製のゲルリッツ式は軸箱上の板ばねから天秤状に釣った軸ばね釣りボルトで軸ばねを受ける。吊り掛け駆動車末期の1950年代前半に登場し、近年まで活躍していた例としては東武鉄道5700系のFS106などがあるが、現役ではこのFS107を残すのみとなった(西武鉄道E31形が履く国鉄DT20Aも近似の方式)。
名鉄3850系は戦後初の特急用2扉クロスシート車として1951(昭和26)年に登場、3900系は続く1952(昭和27)年の登場で、いずれもMc、Tc車ともこのFS107を履いた(3900系の中間増備車は軸ばね式のFS13を採用)。3900系は1987(昭和62)年、3850系は1990年までに全廃されたが、どちらの台車も3扉ロングシートの新製車体と組み合わされ、3300系および6750系2次車として再生された。
写真は瀬戸線で活躍を続ける6750系2次車のもので、4輌編成中、Mcおよび中間M車と一部の中間T車がFS107を履く。なお、3300系は2003年に全廃されたが、そのFS107はえちぜん鉄道に譲渡され、モハ2101形(車体はもと阪神電鉄5231形)の台車として3度目の活躍をしている。
軸距:2400㎜ 車輪径:910㎜
軸箱支持:軸箱守(ゲルリッツ式) 枕ばね:板ばね
写真:2003.5.25 喜多山 高橋一嘉
名古屋鉄道6750系走行音のページ
https://rail.hobidas.com/bogie/archives/2006/01/6750.html
参考文献
「住友金属の台車5」鈴木光雄(『鉄道ピクトリアル№447』所収/1985年 電気車研究会)
『復刻版私鉄の車両11 名古屋鉄道』飯島 巌・白井良和・井上広和(2002年 ネコ・パブリッシング)
2006.1.2作成