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大宮に建設中の鉄道博物館収蔵車輌のうち、3月に大船から搬送されたナハネフ22に続き、今度は北国津軽からオハ31が搬送されました。
オハ31は1927(昭和2)年から製造された、日本では最も初期の鋼製客車です。国鉄から姿を消した後も津軽鉄道に譲渡された3輌が長く活躍し、晩年は“ストーブ列車”としてマスコミに取り上げられ有名になったので、実際に乗られた方も少なくない筈。今回収蔵されるのは、その津軽鉄道で保存されていたオハ31 1(旧国鉄オハ31 26)です。
オハ31が履く台車はTR11です。TR11とは大正8年度から昭和3年度までに客車および国電付随車用として製造された2軸長軸台車の形式で、年式や用途によって仕様が異なるようです。木造客車のものは戦後、オハ61などの鋼体化客車に転用され1980年代まで活躍していましたし、私鉄電車でも多く使用されましたので、古いながらも多くのファンに馴染みのある形式でしょう。
軸距:2450mm 車輪径:860mm
軸箱支持:軸箱守(釣合梁) 枕ばね:板ばね
写真:2006.7.4 大宮車両センター RM(新)
なかなか見る機会はないTR11の上面を端側から見ます。
同じく車体中央側から見ます。
大宮に搬入されたオハ31。古い半鋼製車体に雪国津軽の気候はあまりに厳しく腐食が進んでいたため、二つに分割してトラックに載せての搬送となりました。でもご安心を。これから一つにまとめて完全修復されるとのことです。来年10月には美しい姿を見せることになるでしょう。 2006.7.7作成/2006.8.10更新
参考文献
「台車とわたし 2.大正時代の客・電車用台車」高田隆雄
(『鉄道ジャーナル』№95所収 1975年 鉄道ジャーナル社)
『日車の車輌史 図面集 国鉄編 上』
日本車両鉄道同好部・鉄道史資料保存会(1998年 鉄道史資料保存会)
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これまでに収録した国鉄客車用台車
TR11 TR73 TR47A TR53A TR55B TR60 TR230 TR232