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昨年、山梨交通が戦時統合による設立から60周年を迎えたことを記念して、かつての電車線の車輌を模した記念品(写真上:ポリストーンモデルというそうです)を発売しましたが、そのモデルとなったモハ7形電車がお色直しされたと聞き、早速見てきました。
モハ7形(7・8)は1948(昭和23)年汽車会社製、1962(昭和37)年の山梨交通電車線廃止後、2輌そろって上田丸子、江ノ電と渡り歩き、1986(昭和61)年に廃車されました。その際、1輌がかつての沿線である増穂町の利根川公園に里帰りし、以来、立派な屋根の下に保存されています。数ある静態保存車の中でも幸運な1輌と言えましょう。
今回のお色直しでは保存以来の茶色一色から、山梨交通電車線晩年の塗装であるオレンジ色に戻されました。もともと山梨交通電車線は昼間は前灯を取り外していましたから、江ノ電で運転台を撤去されたこちら側からみると、江ノ電スタイルになった運転台側よりも、写真に残る山交での現役時代の姿に近い印象を受けます。
軸距:1650㎜ 車輪径:860㎜
軸箱支持:軸箱守(軸ばね) 枕ばね:板ばね
写真:2006.6.18 高橋一嘉
銀色に塗られてちょっと派手になった台車は車体と同じ汽車会社製。路面電車用のボールドウィンL形のように鋼鈑リベット組み立てによる台車枠ですが、下揺れ枕を省略せずに枕ばねの重ね板ばねを枕木方向に配しており、このあたりはやはり路面電車と郊外電車の中間ということでしょうか。
何はともあれ、40年以上も前に廃止された鉄道の電車が、こうして縁の地で大切に保存されているということは、誠に喜ばしいことです。 2006.8.13作成
参考文献
『RM LIBRARY5 山梨交通鉄道線回想録』花上嘉成(1999年 ネコ・パブリッシング)