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東急世田谷線の電車が300系に統一されたのが2001年2月11日だから、早いもので10年以上が経ったことになる。あの日、電車の出入口の段差を無くすため、一夜にしてすべての駅のホームが嵩上げされたわけだが、それと前後してほとんどの駅の上屋も鉄製の新しいものに改修され、それまでホームの半分程度だったものがほぼ全面に伸ばされた。
ところがあの時、唯一世田谷駅だけは、旧来の木製上屋を残したまま、鉄製の上屋が付け足された。
三軒茶屋方面の上りホーム。ホーム上に柱が並ぶ、かつての世田谷線の他の駅に似たタイプの木製上屋が残る。出入り口付近(左奥)と三軒茶屋側(右)に金属製の上屋が付け足されている。
下高井戸方面の下りホームは、ホーム上には柱がない、覆いかぶさるような感じのもので、世田谷線の他の駅では見られないものだったように思う。壁面の基礎にブロック塀を用いている。以前は他の私鉄でも見られたような、木製の長椅子があったが、今では樹脂製の個別の椅子に変わっている。
駅前の世田谷1号踏切。10年前には道路の両側に建ち並んでいた商店や民家も、道路の拡幅工事のために南側はすっかり姿を消し、この周辺では駅の移動を待つばかりといった風情になってきた。ちなみに、等々力付近と明大前付近を結ぶこの道路計画自体は1961(昭和36)年に立てられたものだそうだ。世田谷線には300系どころか、まだデハ150形すら誕生していなかった時代の話である。
駅入口に貼り出された告知によると、この駅もいよいよ移動に伴う改良工事がはじまるようだ。そう言えば、最近は沿線でも「たまでん」という呼び名が通じないことが多くなったという話を聞いた。「たまでん」から「せたせん」へ、またひとつ風景が変わる。(2012.7.17)