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1995.10.22 P:高橋一嘉
毎月ご好評をいただいているRM LIBRARY、この6・7月は岡田誠一さん、澤内一晃さんによる『横浜市電』の上下巻ですが、横浜市電で思い出すのが、横浜から遠く離れた新潟県の国道沿いにいた500形です。以前、『トワイライトゾ〜ン・マニュアル』でも紹介されましたのでご存知の方も多いと思いますが、場所は上越国境の三国峠、越後湯沢から国道17号をスキー場がある苗場に向かう途中、八木沢という越後交通系列のバス停でした。
1995.10.22 P:高橋一嘉
この電車、台車はなく、車体は真っ青に塗られていて、かろうじて残った「529」というローマン体の切り抜き文字以外には、少なくとも外側には、素性を示すような標記類は残っていなかったと思います。車内はというと、ご覧の通り窓のほとんどが塞がれていて、電灯もなく、入るのもちょっと躊躇われるような感じで、正直に白状しますとあまり仔細に見ていません。おそらく降雪期を考えて待合室として設置されたものと思いますが、この頃の状態では、余程の荒天でもない限り、中に入る人はいなかったのでは...と思います。そもそも、なぜ横浜市電の単車がはるばるここまで運ばれて待合室になったのでしょうか。
バス路線を運行する南越後観光バスの時刻表を見ると、現在も八木沢バス停はあるようですが、あの529号は流石に用済みとなってしまったのでしょうか、何年か前に何処かへ運び去られたと風の便りに聞きました。
Brill79E(横浜市電523)
軸距:2134mm 車輪径:610mm
500形は幸いにも同型の523号が「横浜市電保存館」に保存されており、529号では失われていた台車ブリル79Eも見ることができます。単台車の大ヒット作であったブリル21Eの後継モデルであり、車輪径も低床化のため小さくなっていますが、模倣品も含め全国的にその活躍が見られた21Eに比べると、79Eの採用は横浜、神戸、そして大阪市電など限られたものであったようです。国内では唯一現役で残っている札幌市電のササラ電車のものも大幅に改造されていることを考えますと、今日国内で見ることができる、大変貴重な存在ということができるでしょう。
2009.7.17作成
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これまでに収録した横浜市交通局の台車
Brill79E LH FS568 SS124 SS024
これまでに収録した路面電車関連の台車