東武鉄道では、2017年の夏目途に日光・鬼怒川地区において蒸気機関車(SL)の復活運転を目指し、各種準備を進めているが、このたび、車輌・施設計画などの概要について発表した。 蒸機(SL)復活運転は「蒸機(SL)+車掌車+客車+ディーゼル機関車(DL)」という編成で運行することとし、蒸機(SL)をJR北海道から貸与されるほか、「車掌車」はJR貨物およびJR西日本から、「客車」はJR四国から、「DL」はJR東日本から、それぞれ譲渡されることとなった。また、蒸機(SL)の方向を転換する「転車台」についてもJR西日本から譲渡され、全国各地の鉄道会社からの協力により計画が進められる。 東武鉄道においては蒸機(SL)を受け入れるにあたり、南栗橋車両管区に検修庫を新設するほか、蒸機(SL)の発着の拠点となる下今市駅は、かつて蒸機(SL)が走っていた時代を彷彿とさせる昭和レトロ感のある駅舎に改修する。 また、運転計画については、土休日を中心に年間最大140日程度運行する予定。 蒸機(SL)復活運転の目的である「鉄道産業文化遺産の復元・保存」「日光・鬼怒川地区の交流人口の増加による地域振興、ひいては栃木・福島エリアの支援活性化の一助」に賛同された各社の協力により、引き続き2017年夏のSL復活運転を目指す。 ▼借受に向けて準備中のC11 207号機。 P:東武鉄道ニュースリリースより【運転計画概要】(1)運転開始予定時期 2017年 夏目途(2)運転予定区間 東武鬼怒川線 下今市~鬼怒川温泉間 12.4km(3)所要時間 約35分/片道(4)運転日数 土休日を中心に年間最大140日程度(1日3往復程度)を予定▼(左)客車(14系・12系)と長門市駅転車台。 P:東武鉄道ニュースリリースより【車輌計画】 鉄道産業文化遺産の復元・保存に賛同された全国の鉄道会社からの支援・協力を得て、かつて蒸機(SL)運転に使われていた時代の車輌の貸与・譲渡により運行される予定。なお、蒸機(SL)の借受および車掌車・客車の譲受は、車輌などの産業文化遺産の保存実績のある東武博物館が行い、ディーゼル機関車の譲受は東武鉄道が行う。・蒸機(SL) C11-207(JR北海道)・車掌車 ヨ8634(JR貨物) ヨ8709(JR西日本)・客車 スハフ14-1(JR四国) スハフ14-5(JR四国) オハフ15-1(JR四国) オハ14-1(JR四国) オロ12-5(JR四国) オロ12-10(JR四国)・ディーゼル機関車(DL) DE10-1099(JR東日本)【編成予定】 ←進行方向 SL+車掌車+客車1+客車2+客車3+DL ※客車の座席定員数は、約200席を予定。【施設計画】(1)転車台の設置 JR西日本が所有する、かつて国鉄で使用していた長門市駅転車台および三次駅転車台を譲渡され、下今市駅に長門市駅転車台、鬼怒川温泉駅に三次駅転車台を設置する予定。(2)南栗橋検修庫の新設 蒸機(SL)の各種検査を行う検修庫を南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)に新設する。 なお、2016年8月頃にJR北海道から蒸機(SL)を受け入れ、以後、南栗橋検修庫において整備・検修を行い、同管区内で訓練運転などを実施する予定。 ▼南栗橋検修庫(イメージ) P:東武鉄道ニュースリリースより(3)下今市駅舎改修および蒸機(SL)見学エリアの整備 蒸機(SL)の発着の拠点となる下今市駅は全面的に改修を行い、かつて蒸機(SL)が走っていた時代を彷彿とさせる昭和レトロ感のある駅舎に生まれ変わる。また、構内には蒸機(SL)の雄姿を間近で見学できるエリアの整備をするなど、下今市駅を中心に地域の観光拠点としての魅力を高め、日光・鬼怒川地域全体の活性化を目指す。 ▼SL発着の拠点となる下今市駅。(イメージ) P:東武鉄道ニュースリリースより【乗務要員の追加養成】 検修および乗務要員の養成については、JR北海道、秩父鉄道、大井川鐵道の3社の協力により教育を進めているが、このたび、新たに真岡鐵道に乗務要員養成の協力を得ることとなり、今後は全4社の協力により教育訓練を進めていく。【今後のスケジュール】 2016年6月頃 JR貨物、JR西日本から車掌車を受け入れ 8月頃 JR北海道からSLを受け入れ 9月頃 JR四国から客車を受け入れ 10月頃 JR西日本から転車台を受け入れ 12月頃 JR東日本からDLを受け入れ 2017年4月頃 東武鬼怒川線にて試運転の開始 夏目途 営業運転開始●詳しくはこちらを参照(pdf形式)●東武鉄道 ウェブサイト