text & photo:RM
取材日:’24.1.21 取材協力:東急株式会社、四国旅客鉄道株式会社
普段は首都圏~伊豆方面で活躍している「THE ROYAL EXPRESS」を使用したクルーズトレインは、2020年夏季に北海道で運行が開始され、毎年好評を博しています。そしてこの度、新たに四国・瀬戸内地区でも運行が始まることになりました。その名も「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN」。一部区間ですが試乗の機会を得られたので、車内の模様などを中心にお届けしましょう。
▲松山駅に入線してくる「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN」。
試乗区間は松山~伊予西条~今治で、これはツアー3日目の行程の一部となります。松山駅に入線してきたのは、JR貨物のEF210-342、そして「THE ROYAL EXPRESS」5両編成に電源車のマニ50形というもの。「THE ROYAL EXPRESS」は本来は8両編成ですが、電源車の容量の関係で1・4・5・6・8号車の5両に減車されています。電車なのに電化区間で機関車に牽かれる理由は、JR四国の電化区間のトンネルが低断面となっており、「THE ROYAL EXPRESS」のパンタグラフが対応できないためです。また、北海道での運行時はJR北海道の機関車(DL)が牽引したところ、今回四国島内ではJR貨物の機関車が牽く理由は、既にJR四国には好適な機関車が所属しておらず、乗務員の手当てもできないから、とされています。
10:29に松山駅を発車。プレス陣を乗せた列車は一路予讃線を東上、伊予西条を目指します。車窓左手には瀬戸内海の眺めが。乗っている車両は電車ですがここでは客車扱いとなっており、余計な騒音などがほとんどなく思ったより「客車感」がある乗り心地でした。ここで車内を探検してみましょう。機関車直後は1号車で、明るい色調のメープルがメインであしらわれている室内となっています。前面展望も良好で、機関車の顔がよく見えて迫力です。
2両目は4号車で、クルーズトレインならではのキッチンカーとなっています。そして5・6号車はダイニングカー。8号車は1号車と同じ先頭車ですが車内は重厚感あるローズウッドメインで、ライブラリーなども設えられた落ち着いた空間となっています。前面展望席からは電源車マニ50の正面が見えます。これも首都圏での通常運行では見られない眺めです。
12:10頃、伊予西条駅到着。ここでは方向転換のため機関車の機回しを行います。この機回し自体、現在なかなか見られるものではなくなっているため、ツアー参加者にとってはひとつのアトラクションとなりましょう。
12:53、今来た道を引き返す形で今度は今治を目指して発車。お待ちかねのランチタイムです。プレス陣にもその一部試食が提供されましたが、その美味しさは言わずもがな。瀬戸内の厳選された素材の旨味が口中に広がる瞬間は、ツアー参加者にとっては幸せの一語に尽きるのではないでしょうか。
▲車内で提供される昼食、握りずしをメインとしたメニュー。
14:15、列車は高架となっている今治駅に到着。試乗会はここまでとなります。「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN」は今シーズン6回の運行が計画されており、いずれも3泊4日のコースで1回あたりの募集人数は最大15組30名まで。旅行代金は1人あたり96万円からとなっています。今シーズンの申込は既に終了していますが、北海道同様、今後定着するのか見守っていきたいと思います。