TS-302(両端M台車)
電車とバスの博物館に保存されている、東急玉川線デハ200形電車の台車です。1955(昭和30)年に登場したデハ200形電車はM台車、T台車とも510mmという専用の小径車輪を使用しており、これにより床面高さ590mmという低床構造を実現。この記録は、国産車での動台車上の数値としては、2004年に長崎電気軌道3000形電車が誕生するまで、実に49年間も更新されることはありませんでした。
両端のM台車は枕ばねは台車枠上に直接コイルばねを配する構造で、軸距は1500mm。軸箱支持は軸ばねにコイルばねを使用せず、軸箱の上部および左右が台車枠とゴムばねにより接合したものですが、台車枠は車輪の内側に配されるため、外からはほとんど見えません。また、2基の主電動機は平行カルダン方式で駆動されますが、小径車輪ゆえに小歯車と大歯車が届かないため、間に遊び歯車が介されています。
TS-501(連節T台車)
一方、連節部のT台車は、電車用の連節台車としては国内では他に類を見ない1軸台車です。曲線通過時には車体と心皿とのリンク機構によって常にカーブの中心方向に向くよう操舵される構造で、ウイング ばね状に配されるコイルばねによって懸架されています。
電車とバスの博物館に保存されている204号。 写真:2005.11.16 高橋一嘉
参考文献:
「タルゴ君の夜話」飯島 巖(『世田谷のちんちん電車』/1984年 大正出版)
『東急電車形式集.3』(1997年 レイルロード)
「玉電200形その技術」守谷之男(『鉄道ピクトリアル』№749/2004年 電気車研究会)
2006.3.9作成