text & photo:RM
取材日:’25.6.30 場所:宮城野総合事務所
取材協力:東日本旅客鉄道東北本部
JR東日本では、各地で活躍していた国鉄型の通勤電車205系について順次置き換えを進めてきましたが、その最後の牙城と言える(※1)宮城県の仙石線にも新型車両としてE131系を投入することを決定。その第一編成が報道公開されました。仙石線への新型車両投入は、「仙石東北ライン」用HB-E210系を例外として除けば、1946年のモハ810形4両以来、79年ぶりとなります。余談となりますが、このモハ810形は仙石線の前身である宮城電気鉄道が発注した社型電車で、その後国鉄~JR東日本を通じて同線では首都圏などからの転属車で長く賄われており、今回の新車投入は歴史的トピックであると言えるでしょう。
※1:205系がまだ活躍している線区として南武支線がありますが、2編成在籍のE127系に対して1編成のみで予備車的存在。

▲正面が完全非貫通タイプとなったのが目新しいE131系800番代。ラインカラーは従来の205系3100番代を踏襲しつつ、前面のドットパターンがE131系らしさとなっています。
E131系は投入線区ごとに編成両数、車体幅、座席の様式、トイレの有無などが細かく仕様分けされています。そして今回の仙石線用800番代は、
・4両編成(2M2T)
・拡幅車体(裾絞りあり)
・オールロングシート
・トイレ付(編成中1ヶ所)
…となっており、既存車でこれらの特徴が完全に一致する番代区分は存在しません。そして最大の特徴が、前面が完全に非貫通型であること。仙石線では増結運用がないので当然と言えば当然ですが、鶴見線用1000番代が一見貫通型に見えるデザインながら非貫通型として製造されたのとちょっと違うと感じさせる点です。
車内はオールロングシートとされており、現在のところ、205系に存在した2WAYシート車については何もアナウンスがありません。各車両にフリースペースが設置され、優先席と共にわかりやすい配色で乗客を誘導しています。また205系に比べて一人当たりの座席幅が広がり、低座面化、クッション性向上が図られているとのこと。

▲扉間7人掛けのロングシート。扉横には半自動扉開閉スイッチが設置されています。
一部扉の上部には17インチ大型ディスプレイも設置され、多言語による情報提供がなされます。また車体外側には乗降監視カメラが設置され、車両が完全にE131系に置き換わった後にワンマン運転が開始される予定です。また、グループ中1編成(N13編成)に線路設備状態監視装置が搭載される計画となっています。

▲クモハE131形に設置されている、身障者対応のトイレ。
このE131系800番代は、4輌編成14本56両が製造予定。2025年冬ごろから営業運転を開始する予定となっています。

▲前面窓は3分割ながら、車内から見ると扉が無いことは一目瞭然。



