text:鉄道ホビダス編集部
1999年7月から運行開始された「カシオペア」。オールステンレス車体のE26系客車に、全車A寝台個室という、それまでのブルートレインの系譜とも異なるということで、運行開始以来高い人気を誇ってきました。北海道新幹線の開業を前にした2016年3月に一般運行は終了しましたが、その後も団体臨時列車としてしぶとく存続し続けてきました。そんな「カシオペア」も、夜行列車としての営業運転をいよいよ終えました。
【写真】2025年6月の最終運行の様子も!「カシオペア」最後の勇姿を写真でもっと見る!
■北海道新幹線開業後も走った「カシオペア」
EH800からDF200へ牽引機が交換されるシーン。
‘17.2.26 函館本線 五稜郭 P:二ノ宮忠勝 (鉄道投稿情報局より)
先述の通り、2016年の3月をもって定期的な一般運行は終了しました。ですが、当時まだ車齢も20年に満たず、まだ活躍できる年数でもあり、さらに列車自体の人気も衰えてはいませんでした。そうした背景もあり、2016年6月からは団体臨時列車「カシオペア紀行」「カシオペアクルーズ」として、第二の人生を歩むこととなりました。
■バリエーション豊かな牽引機
「カシオペア」の魅力の一つとして、一般運行時代から様々な機関車が牽引を担当していたことも挙げられます。北海道新幹線開業後、「TRAIN SUITE 四季島」デビューまでは北海道に乗り入れることもあり、その際は引退したED79や、DD51達の代わりとしてJR貨物のEH800やDF200が牽引を担当し、多くのレイル・ファン達の印象に残るシーンとなりました。
もちろん本州でも様々な機関車が「カシオペア」の先頭に立ち、カラーバリエーション豊かなEF81に始まり、現在はJR貨物に譲渡されたEF510 500番代、上越線経由の際の前補機としてや中央本線での運行時にはEF64が、さらに一般運行時代の代走としてED75が牽引したこともありました。
■回送列車に「乗車体験」できるプランも
小山〜上野間の体験乗車の際に撮影したカハフE26「ラウンジ」車内。
P:鉄道ホビダス編集部
晩年の「カシオペア」では小山から上野までの送り込み回送列車に「体験」として乗車できるプランも販売されたことがありました。30,000〜35,000円程度の価格で販売され、1個室2名で利用すれば片道15,000円で「カシオペア」に乗れるという、破格のプランでもありました。
■2025年6月 ついにフィナーレへ
2025年6月28日。大勢のレイル・ファンに見送られて発車する「カシオペア」。最後の旅路が始まる。
‘25.6.28 東北本線 上野 P:東條ともてつ
2025年6月。ついに営業運転として最終運行を迎えた「カシオペア」。今回の引退で正真正銘、お客さんを乗せた夜行列車としての運行は最後となる見込みです。
6月28日土曜日夜にに上野駅を発車した「カシオペア」は、東北本線を北上し翌9時頃に仙台駅に到着。同時に仙台車両センターでは撮影会も開催され、6月30日月曜日11時頃に仙台駅を再び発車し、上野駅に夕方17時頃に到着。これをもって全ての「カシオペア」の運行が終わりました。
ただし、2025年7月12日(土)には上野駅13番線ホームにて「カシオペア」の車内開放イベントが予定されており、まだもう少しは同車の勇姿を見ることができそうです。
■【新刊情報】さらば、寝台列車「カシオペア」 まもなく発売!
「カシオペア」の25年以上にわたる活躍を振り返る
さらにともに北へ向かった寝台列車や現役夜行列車にも注目!
デビューから25年以上が経過し、いよいよ引退の時が近づいてきた「カシオペア」。本誌ではそんな「カシオペア」のデビューの頃から現在に至るまでの活躍を中心に、共に北へ駆け抜けた寝台列車や、現在も乗れる寝台・夜行列車などにも触れていきます。
さらには模型や鉄道系玩具といったアイテムとしての目線からも「カシオペア」を振り返り、同列車の集大成に相応しい一冊となります。発売は7月7日を予定!お楽しみに。
タイトル:さらば、寝台列車カシオペア
定価:1,650円(税込)
発売予定日:2025年7月7日