185系

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去就気になる国鉄生まれのジョイフルトレイン「サロンカーなにわ」今や貴重な客車列車の歴史を辿る!

2025.06.25

text:鉄道ホビダス編集部

「サロンカーなにわ40周年記念号」として、記念マークを付けて運行された際のもの。

‘23.11.3 北陸本線 芦原温泉〜細呂木 P:福島鷺栖

 運行される度に話題となるJR西日本所属の客車「サロンカーなにわ」。14系客車の改造で国鉄時代にデビューし、現役で活躍を続けるこの車両ですが、気がつけば今や貴重な客車で、かつ国鉄時代に生まれたジョイフルトレインの生き残りとなりました。そのためか、近年では運行の度に注目されていました。

【写真】昭和レトロな内装も魅力的!「サロンカーなにわ」の車両写真をもっと見る!

■「サロンエクスプレス東京」とほぼ同期

 1983年、大きく変わりつつあった旅行ニーズに応えるべく、さまざまな調査や検討の結果登場した14系改造の「サロンエクスプレス東京」。欧風の豪華な内装を持ち、それまでイベントや団体列車で使われた和式客車とは一線を画す存在でした。それとほぼ時を同じくして、国鉄大阪鉄道管理局から登場したのがこの「サロンカーなにわ」です。
 こちらも14系から改造されており、編成両端は展望室付きのスロフ14形700番代ですが、1号車はスナックカウンターとラウンジ、7号車は指定席と展望室が兼ねられています。この展望車は密閉式ながらも、「マイテ」などに代表される往年の開放式デッキを持った展望車のような外観です。また、展望室は全面ガラス張りとしたことから、広々とした展望をソファに座って車内から楽しめるようになっています。

 1994年にはリフレッシュ工事が施工され、内装を中心に更新を受けたほか、外装に関しても、帯色がゴールドから現在のイエローに変更されました。

■レトロさを感じる内装は少し「喫茶店」チック?

▲展望室やデッキの仕切りには美しいステンドグラスがはめられる。

‘20.2.22 P:上石知足

 内装は一般客車とは全く異なっており、また、現代のジョイフルトレインやイベント列車でも見られないレトロな雰囲気を持っています。デッキや展望室との仕切りにはステンドグラスがはめられているほか、仕切り扉に関しても住宅用を思わせるクラシカルな木製のもので、今見ると非常に味わい深いものに見えます。照明類も意匠が凝らされたシャンデリアやブラケット照明が採用され、内装の豪華さを盛り上げています。

 こうした華やかだけれども少し昭和のレトロさを感じる内装は、純喫茶のような落ち着いた趣を感じられるように思います。独特の味わいがある車両を、令和の世の中でも楽しむことができるのはとても貴重なことでしょう。

■続々と客車ジョイフルトレインが引退する中…

▲展望車は、往年の開放型デッキ展望客車を彷彿とさせるデザインにも思う。

‘20.2.23 下関 P:上石知足

 1980年代〜1990年代はまさにジョイフルトレインの華の時代とも言え、この「サロンカーなにわ」登場後もさまざまな車両が登場していきました。ですが、そのいずれもが従来車両の改造によって生まれたものがほとんどで、種車の老朽化やバブル崩壊後による旅客需要の変化を理由に引退していきました。もちろん「サロンカーなにわ」も14系という従来車からの改造ですが、近年でも団体列車を中心に活躍を続けていました。なお、ほぼ同時期に登場した「サロンエクスプレス東京」はその後和風客車「ゆとり」に改造され活躍していたものの、2008年に運用を終了。展望車のみ長らく尾久車両センターで留置されていましたが、こちらは2015年に廃車となり現存していません。

▲吹田へと回送される「サロンカーなにわ」客車5両。

‘23.6.23 東海道本線 茨木 P:福島鷺栖

 国鉄時代に生まれ、改造当時の面影を色濃く残した姿で現代を生き抜いた「サロンカーなにわ」ですが、つい先日、客車が吹田へと回送。客車妻面の銘板が撤去された姿も目撃されており、今後の去就が注目されています。

2023年10月掲載記事を加筆修正の上掲載。

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