text:鉄道ホビダス編集部
’23.10.18 中央本線 武並〜恵那 P:浅路 誠
(今日の一枚より)
山岳区間での活躍が印象的な国鉄直流電気機関車のEF64。大まかにその形態には0番代と1000番代が存在しますが、2024年現在も運行されているのは1000番代のみです。とはいえ、こちらも世代交代が進むことが考えられており、予断を許さない状況です。今回ここでは、そんなEF64 1000番代が残したこれまでの足跡を振り返りつつ、現況を見ていきます。
【写真】懐かしのブルートレインや青梅線石灰石貨物も!EF64 1000番代が活躍する写真はこちら!
■国鉄最後の新製電機 誕生までの経緯
1970年代に入っても上越線で数多く活躍していた旧型電気機関車たちを置き換える名目で登場したEF64 1000番代。元々0番代の投入も検討されていましたが、性能の向上が求められていたことや、そもそも設計から当時10年近い年数が経っていたこともあり、0番代を基本とした新しい山岳向け電気機関車を製造することとなりました。こうして誕生したのがEF64 1000番代です。
主抵抗器をはじめ、機器配置を見直したことで主要機器の容量を増大することに成功しています。さらに上越線という雪深い地域を走行することを考慮し、耐雪構造としたため、車体長は0番代より700mm長い17800mm、車体幅も100mm広げられた2900mmとされました。また、機械室の区分けの関係で車体側面は前後非対称となり、従来の国鉄型電気機関車とは異なる印象になりました。
このように、0番代と基本性能こそ揃えられたものの、ほぼフルモデルチェンジに近い改良が1000番代には施されていました。
■客車に貨物に 多彩な運用をこなした全盛期
1980年に1次車が16両製造され、長岡機関区に配置されます。その後1981年に2次車、1982年に3次車が増備され、1000番代は1001号機〜1053号機までの53両が出揃いました。当初は主に上越線や高崎線の客車・貨物列車の牽引に充当され、旧型電機たちを置き換えていきました。もちろん寝台特急運用もこなし、1985年からはヘッドマークの掲出も開始され、EF64 1000番代は華の時代を迎えます。
また、1984〜1985年にかけて、八王子機関区に転出した機関車は青梅・南武線の石灰石貨物列車の牽引にも活躍。この貨物列車の廃止までEF64 1000番代が牽引していました。
国鉄分割民営化によりJR貨物に45両、JR東日本に8両の計53両全機が継承されました。JR貨物所属の機関車は文字通り貨物専任となり、JR東日本所属の機関車は寝台特急の運用など、旅客列車の牽引を中心に活躍しました。
ですが、寝台特急は新幹線の拡充により急速に衰退し、「あけぼの」は2014年3月のダイヤ改正で廃止されたことで、EF64 1000番代の旅客定期運用が消滅しました。JR東日本所属機は現在、イベント列車や電車配給輸送の牽引などを中心に活躍を続けています。
■貨物列車を中心に運用中 ただし置き換えも近いか?
旅客こそないものの、JR貨物では今も定期貨物運用が存在しています。配置は愛知機関区に集約されており、主に中央本線や篠ノ井線のほか、伯備線の貨物列車の牽引も担当しています。特に中央西線では一往復のみではありますが、重連運用も残っており、国鉄型電機最後の定期重連ということで注目を集めます。
また、伯備線ではまもなく定期運用を終える381系「やくも」や、普通列車で活躍を続ける113系・115系と共にEF64牽引の貨物列車が国鉄型最後の活躍を盛り上げています。
とはいえ、かつてのEF64 0番代がそうであったように、今後は1000番代も後継機によって置き換えられる日もそう遠くないでしょう。貴重な現役国鉄型電気機関車の一つとなったEF64 1000番代。その活躍する姿を少しでも長く見られることを願うばかりです。
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特別付録は、今回はいつもと趣向を変えて、鉄道写真撮影地ガイド「お立ち台通信貨物列車Version2024」を制作しました。特集は中央西線のEF64で、その他にも北海道から九州まで20の貨物列車に好適なスポットを紹介しています。
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