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特集・コラム

気付いた人はいないはずだ。 新幹線総合指令所の機能が大阪へと移った1日

2022.12.04

text & photo:鉄道ホビダス
取材日:’22.12.3 場所:新幹線第2総合指令所
取材協力:JR東海、JR西日本、JR九州

新幹線指令所の様子はこちらにて

 時期による変動はあるが、東海道・山陽新幹線の1日の運行本数はおよそ470本。朝夕のラッシュ時には、あの高速列車が3分おきに東京駅を出発していく。
 多くの人が見慣れてしまっているだろうが、停車駅数が異なる「のぞみ」「ひかり」「こだま」が入り混じっているのだから、冷静に考えるとただ事ではない。そんな過密ダイヤの新幹線の運行管理を行っているのが新幹線総合指令所である。
 セキュリティの関係で、場所は東京某所としか明かされていない。そして、大規模災害などの際にバックアップ施設として、東海道・山陽新幹線第2総合指令所が、大阪市内に設置されている。なお、2011年の九州新幹線開業に伴い、東京・大阪ともに九州新幹線を統括する司令員および表示板も設置され、すべての列車の運行状況を一元管理できるようになっている。

すべての制御機能を大阪へ移す1日
 今回、報道公開されたのは、年に一度実施されている有事を想定したシミュレーションの模様で、12月3日の始発から最終列車まで、管理機能を第2指令所に移し、実際に列車制御を行うというわけだ。
 当日、列車制御に携わった司令員はJR東海86名、JR西日本62名、JR九州5名の計153名。そして3社それぞれに指令長がおり、多岐に渡る指令業務を統括している。また、今回の切り替え運用には、第2指令所の司令員に加え、東京からの応援部隊も含まれていた。

各専門部隊で編成された7つのセクション
 正面に据えられた大型モニターに向かい、多くの司令員が業務にあたっていたが、子細に観察すると、各デスクに置かれたモニターに表示されている内容は異なって見える。それもそのはずで、第2指令所内は7つの指令舞台に分かれており、各セクションが連携して制御を行う。

 簡単に説明すると、走行している列車の管理を行う「輸送列車指令」、各地の運輸所や駅、車掌などと連携を取って円滑な運行を守る「輸送旅客指令」、各日の使用編成を調整する「運用指令」、沿線設備の保守や天候による状況判断を担当する「施設指令」、変電所の遠隔操作や架線管理を行う「電力指令」、信号設備を管理する「信号指令」、そして年々複雑化する運行管理に伴う情報を集約し、社内および乗客に発信する「情報指令」となる。制服やスーツのほかに、作業着を身に着けている司令員もおり、現場を熟知した各分野のスペシャリストが集まっているというわけだ。

「万が一」を防ぐために
 なお、この第2総合指令所だが、1999年の設置以来、今回のような訓練を除けば、管理機能を移した実績はないという。平常時は司令員や保守要員の教育・訓練や、設備改良時の確認試験などが行われており、電源も常に入った状態となっているそうだ。「有事の際のバックアップ」という意味を考えると、今後もこの第2総合指令所の出番がないことを祈りたい。
 12月3日の当日に、指令業務の移管を体感できた人はいないはずだが、「万が一」を想定した体制を整え、日夜業務に取り組んでくれている多くのスタッフがいるからこそ、開業以来の安全運行が成り立っているのだと実感できた1日だった。

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