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特集・コラム

10月の鉄道のデキゴト「西武鉄道西武秩父線開業(1969年)」

2021.10.13

text:RM

夜祭の街、秩父がグッと身近に

 「○月の鉄道のデキゴト」は、当月にあった過去の鉄道の「デキゴト」(路線の開通や車両の新製・廃車、そのほかの事件など)を振り返るコーナーです! ティーブレイクにでも気軽にお楽しみください。

▲西武秩父線開業と同時に、西武鉄道初の有料特急列車「レッドアロー」が誕生した。
‘88.3 西武鉄道西武秩父線 吾野~東吾野 P:長岡行夫(消えた車両写真館より)

 本日は、52年前となる1969年10月14日(奇しくも鉄道の日)のデキゴトからの紹介です。西武鉄道の西武秩父線(吾野~西武秩父、19.0km)が開業したのがこの日のことでした。

▲全身メタリックシルバーの「Laview」が天空を行く。西武秩父線はトンネルと橋梁(近代的なコンクリート橋)の多い路線だ。
‘21.5.3 西武鉄道西武秩父線 横瀬~芦ヶ久保 P:長島信幸今日の一枚より

 秩父市は秩父盆地にあって独特の文化を育んだ街で、夜祭などの観光資源にも恵まれていますが、西武秩父線開業までは都心からは3時間ほどを要する僻地でした。西武鉄道では既存の池袋線の終点・吾野から正丸峠をトンネルで越えるルートで西武秩父線を建設。終点の西武秩父では秩父鉄道に並行する形でホームが設置され、同鉄道の御花畑駅にて乗り換えが可能となっています。

▲10000系「レッドアロークラシック」の引退直前の頃、西武秩父駅で「Laview」と並んだところ。
‘21.5.15 西武鉄道西武秩父線 西武秩父 P:浅見哲哉今日の一枚より

 西武鉄道にとっての最大のエポックは、この西武秩父線開業によって初めて有料特急列車が登場したこと。新登場の5000系「レッドアロー」は2扉回転クロスシート車で、「ちちぶ」「こぶし」「おくちちぶ」などの列車名で活躍を開始。1970年度のブルーリボン賞を受賞(西武鉄道では初の受賞)しました。特急車両はその後10000系「ニューレッドアロー」、001系「Laview」と代替わりしているのはご存じの通りです。

▲101系は西武秩父線開業に合わせて登場した通勤型車両で、外観は701・801系によく似ていたが、このイエローの塗装は本系列で初めて採用された(701・801系はまだこの頃はラズベリー+ベージュ塗り分けで、その後イエロー系に変更されたが窓周りのベージュ塗装は101系だけのものだった→のちに101系もイエロー一色とされた)
 ’82.7 西武鉄道池袋線 椎名町 P:梶村昭仁(消えた車両写真館より)

 一般型車両としては、5000系と機構を共通とする101系が活躍。外観は既存の701・801系にもよく似ていましたが、勾配線区であることを考慮して抑速発電ブレーキを装備していた点が大きな特徴です。

▲単機回送で走るE851形。国鉄のEF65形とEF81形の折衷形のような設計であった。
‘81.5 西武鉄道西武秩父線内 P:長岡行夫(消えた車両写真館より)

 また、開業時の同線は、沿線で盛んなセメント貨物輸送にも大きな期待を掛けられており、当時私鉄最大の電機となったE851形を4両投入。F級電機はその後も私鉄用としては登場せず、まさに空前絶後の存在でしたが、開業30年に満たない1996年に貨物営業を終了、同形も全車廃車となってしまいました。

▲車窓を楽しみながら一流のグルメにも舌鼓を打つ…という趣向の「52席の至福」。
‘20.1.29 西武鉄道西武秩父線 西武秩父 P:瀧井翔一(鉄道投稿情報局より)

 現在の西武秩父線は、前述の「Laview」のほか、レストラン列車「52席の至福」などの華やかな列車が活躍中。さらに横浜高速鉄道 元町・中華街~西武秩父を結ぶ40000系「S-TRAIN」も土休日に設定されています。通常の普通列車は2扉クロスシートの4000系が主力です。秋は紅葉のシーズン、年末の夜祭に向けて秩父も観光ムードが盛り上がることでしょう。

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