185系

特集・コラム

9月の鉄道のデキゴト「JR北海道785系、営業開始(1990年)」

2021.09.17

text:RM

交流初のVVVFインバータ車

 「○月の鉄道のデキゴト」は、当月にあった過去の鉄道の「デキゴト」(路線の開通や車両の新製・廃車、そのほかの事件など)を振り返るコーナーです! ティーブレイクにでも気軽にお楽しみください。

▲西洋の騎士の甲冑を思わせるような、やや武骨でシルバーメタリックをまとう785系。新製当時の姿で、後年、おでこに着雪防止装置の導風板が取り付けられた。
‘90.5.31 札幌運転所 P:RM

 今回は、31年前となる1990年9月1日のデキゴトから振り返ってみましょう。この時に、JR北海道入魂の新型特急電車785系が「スーパーホワイトアロー」として営業を開始しました。

 当時、JR北海道発足4年目。国鉄時代からドル箱と呼ばれていた札幌~旭川間の特急「ホワイトアロー」をより強化する目的で投入されたもの。というのも、同年10月に同区間を結ぶ道央自動車道が全面開通し、高速バスとの競合が激しくなるのが自明のことだったからです。785系の投入によって最高速度を従来比+10km/hの130km/hへ向上、1時間ヘッドから30分ヘッドへの増発(781系による「ライラック」と合わせて)も行われました。

 車体はステンレス製で、当初は基本4両+付属2両という編成組成であったことから前面貫通構造を持ちます。また、機構的には交流電車として初のVVVFインバータ制御方式を採用したことも特筆すべきで、1991年にはグッドデザイン商品にも選定されました。

▲愛称表示器が運転台窓の下部に一体化されたデザイン。
‘90.5.31 札幌運転所 P:RM

 前述の通り、1990年の投入当初は札幌~旭川間の「スーパーホワイトアロー」にて運用。2002年以降は新千歳空港に直通する快速「エアポート」にも投入されます。この時に普通車指定席「uシート」車が追加で新造され、従来の編成をすべて組み替えて5連×7本(余り2両)に変更しました。

▲781系、キハ183系と並ぶ785系。国鉄時代の先輩2系列と比べると、デザイン的にかなり「攻めた」仕上がりだったと感じる。
‘90.5.31 札幌運転所 P:RM

 2007年には後継系列となる789系1000番代との共通運用で、「スーパーカムイ」(従来の「ライラック」「スーパーホワイトアロー」を統合)に投入されますが、同時に781系の後を追うように室蘭行きの「すずらん」にも投入され、徐々にスターの座から降りていきます。そして2017年3月のダイヤ改正では「スーパーカムイ」から撤退し、過半数の車両が廃車となりました。現在は「すずらん」用として札幌運転所に5両編成×2本、計10両が在籍するのみとなっています。

 登場から31年、今となってはやや地味な存在かもしれませんが、技術的なエポック的存在であったことは間違いなく、改めて注目してみたい系列だと思います。

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