185系

特集・コラム

1930年建造!東海道本線の終点、神戸駅を訪ねる

2020.12.31

取材日(特記以外):’20.10.3
text & photo:奥村匠海

 日本を代表する路線である東海道本線。その起点は言わずと知れた東京駅であるが、その終点は西日本を代表する港町の主要駅の一つ、神戸駅だ。今回は、東京駅起点589.5㎞、東海道本線の終点である神戸駅の歴史ある駅舎を訪ねてみよう。

▲現在の神戸駅は3代目となっている。初代、2代目と場所を変えながら3代目で現在の場所となった。

■東海道本線の終点、神戸駅を訪ねて

 神戸駅は神戸の繁華街である三ノ宮駅から、中華街で知られる元町駅を挟んで二駅先にある。一部の特急を除けば、ほぼすべての種別が停車する主要駅だが、繁華街から離れていることもあり、三ノ宮や元町に比べると少し影が薄い印象を覚える駅だ。しかし、かつては東海道本線の終点として当駅始発の優等列車も多く発着した港町神戸の玄関口だった。

 そんな神戸駅の歴史は1874(明治7)年の大阪~神戸間の鉄道開業に始まる。1889(明治22)年には東海道本線が全通し、(当時はまだ路線名はなかった)晴れて神戸駅は日本の大動脈の終点となった。また、この年に山陽本線の前身である山陽鉄道が当駅まで延伸し、西日本の玄関口としての役割も持ち始めた。
 そして、時代は昭和に入り、1928(昭和3)年に神戸駅は大きな転換期を迎える。貨物需要の増加に伴い、神戸駅の貨物機能は隣接する湊川駅に分離する形となり、神戸駅は旅客専用駅となった。そして、1930(昭和5)年に、現在の3代目神戸駅となった。
 その翌年1931(昭和6)年には高架化され、山側の駅舎側に優等列車専用のホームも備えられ、戦前には超特急と呼ばれた「燕」、戦後も特急「つばめ」、「富士」、「こだま」といった名列車がここを起点に運行されていた。しかし、東海道新幹線開通後は当駅を始発とする優等列車は数を減らしていき、現在当駅始発の定期列車は普通列車のみとなっている。

▲1960年代の神戸駅周辺。海側に広がる線路群が湊川駅。なお、湊川駅は1985年に廃止された。(国土地理院:地理院地図より

▲現在の神戸駅周辺。湊川駅跡付近は神戸ハーバーランドとして再開発され、神戸有数の観光スポットとなっている。(国土地理院:地理院地図より

■90年の歴史を持つ3代目神戸駅舎を見る

 1930年に供用開始された3代目駅舎は、東海道本線の終点として、また山陽本線の起点にふさわしいシックなたたずまいの駅舎となっている。また、規模こそ違うものの同時期に建設された上野駅などに見られた駅舎中央部が一段高い凸型のスタイルとなっている。

●外観

●駅舎内観・駅構内

 駅構内は全体的に広々としており、長いホームなどに、かつて東海道本線の終点として数々の優等列車が東海道新幹線開業まで発着していた名残を残っている。

▲ポートタワー、メリケンパークなど神戸のベイエリアを代表する観光地を神戸ハーバーランドより望む。

 神戸駅から神戸ハーバーランドを経由して元町へ抜けると、メリケンパークやポートタワーといった、神戸の臨港地区を楽しみながら中華街のある地区へ抜けることもできる。神戸の歴史ある駅舎と共に港町神戸のベイエリアを楽しんでみてはいかがだろうか?

 また、RM446号では特集「東海道本線五十三次」を掲載中!こちらも要チェックだ。

🔶RM446号の詳細はこちら

  • このエントリーをはてなブックマークに追加