185系

特集・コラム

時速500㎞の快適さを求めて~超電導リニアL0系改良型試験車報道公開~

2020.10.20

text&photo(特記以外):RM
取材協力:東海旅客鉄道株式会社

 2020年10月19日、山梨リニア実験線でL0系改良型試験車の報道公開が行われた。
 今回、報道公開されたL0系改良型試験車は、2013年に登場した超電導リニアL0系をブラッシュアップしたものとなっており、L0系一編成の東京方2両がこれになっている。

▲今回報道公開されたL0系改良型試験車の外観。(先頭2両)

■超電導磁石により高速域での走行が可能に!
 超電導リニアとは、超電導現象を活用した超電導磁石により浮上して走行するもので、鉄軌道を走る列車では摩擦や空転によって達することができない超高速域での走行を可能としたものである。

 

▲ガイドウェイと呼ばれる超電導リニアを走行させるための地上側の装置

■L0系改良型試験車の外観
 今回の改良型試験車と従来型の大きな違いは外観でいえば、その前面形状だ。従来のL0系よりも先端部が丸みを帯びたシルエットになっており、従来型よりも空気抵抗を13%下げ、消費電力や車外騒音の低減を図っている。また、外観上の変更点として挙げられるのは、ライトと前面のカメラが先頭部の上部に設けられているのが大きな特徴とだ。

▲超電導リニアL0系改良型試験車の先頭部

 ちなみに、従来型のL0系には、サービス用電源のほか、車載の超電導磁石の冷却に必要な電力を賄うためにガスタービンエンジンを搭載しており、先頭部の上部に排気口が設けられていたが、この改良型では誘導集電方式(非接触型の集電)が採用されており、ガスタービンなどの発電設備を搭載していない点も大きな特徴となっている。

▲車体側面に描かれたロゴマーク

■時速500㎞を体感!超電導リニアL0系に試乗!
 今回の報道公開では、改良型試験車と従来型と両方に乗車できる試乗会も行われた。

内装と合わせてレポートしていきたい。

▲超電導リニアの乗車口。しっかりと覆われたと乗車口は飛行機の搭乗口を連想させる。

 改良型試験車は7両編成中の東京方2両となっている。そのため、1号車~5号車は従来型のL0系となっており、従来型と改良型試験車の両方を比較し、中央新幹線に採用するモデルを模索しているという。

▲従来型の車内。新幹線に類似した車内となっている。

▲改良型試験車6号車の車内。車内全体が明るくなっているほか、吸音素材により車内の反射音を低減している(画像提供:JR東海)

▲改良型試験車7号車の車内。こちらは継ぎ目がなく、柔らかみのある膜内装を活用して反射音を軽減しているほか、これを通した照明により温かみのある車内を演出している。

▲従来型の座席。新幹線と同様、座席背面にテーブルが備え付けられている。

▲改良型試験車のシート。従来型とは大きくデザインも異なる。また、座席下のスペースが大きくなっており、リュック程度ならスッキリ収まる。(画像提供:JR東海)

■いよいよ出発!時速500㎞の世界へ
 山梨リニア実験線は、名古屋方は笛吹市、東京方は上野原市までの総延長42.8㎞の実験線となっている。

 まず、超電導リニアは実験センターを出発すると、時速350㎞で終端部の上野原市側まで移動。これだけでも十分速いと感じたが、まだまだ序の口。進行方向を変え反対方向へ一気に加速していく。
 時速130㎞を越えたあたりでタイヤ走行から浮上走行に切り替わるとともに浮遊感があり、その後一気に時速500㎞まで加速していった。

▲室内にはモニターが設けられており、前面展望の映像が映し出されている。画像は時速500㎞で走行中のもの。

 時速500㎞に達したとき、わずかにジェットコースターに乗っているような感覚を覚えたが、意外にも大きな揺れというものは感じず、トンネルの外に出るまで時速500㎞で走っている実感がないほど自然だった。

 リニア中央新幹線が完成すると、東京~名古屋間が最速40分で結ばれる予定だ。超電導リニアの今後に注目していきたい。

 

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