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【特許満載】東海道新幹線、すべての周波数変換装置を2037年度末までに静止型化

2023.05.26

 JR東海より、東海道新幹線の地上設備に関する興味深い発表があった。

‘22.11.16 東海道新幹線 掛川~静岡 P:大谷真弘(鉄道投稿情報局より)

 東海道新幹線では、全線にわたって周波数60Hz(ヘルツ)の電気によって列車を走行させているため、周波数が50Hzである富士川以東の地域では、電力会社から受電した電気を回転型及び静止型の2種類の周波数変換装置(以下、「FC」という)で60Hzに変換している。

 このたび、東海道新幹線のすべてのFCを、技術開発の成果によって、省エネルギー性や省メンテナンス性に優れる静止型FCとすることとなった。

概要
■回転型FC、静止型FCの特徴と技術的な課題
・回転型FCは、東海道新幹線開業以来設置されてきた型式であり、大型のモータと発電機を組み合わせて周波数を変換する装置。静止型FCは、パワー半導体を用いて周波数を変換する装置である。

・回転型FCは架線の地絡等による瞬間的な大電流やダイヤ乱れ等による過負荷が発生しても電力供給を継続できる一方、稼働時のエネルギーロスが大きくなるという特性がある。
※地絡:架線に鳥や蛇などの介在物が接触した場合に、電流が地面に流れること
※過負荷:多数の列車が同時に加速した場合等に、機器の性能を超える電流が流れること

・静止型FCは省エネルギー性や省メンテナンス性に優れるが、瞬間的な大電流や過負荷が発生すると、機器の保護のために自動的に電力供給を停止する。

・JR東海ではこれまで、回転型FCから、メリットの大きい静止型FCへの置き換えを順次進めてきたが、瞬間的な大電流や過負荷の発生に備えて、回転型FCを一部残す必要があった。

(プレスリリースより)

技術開発・施工内容
・今回、以下2つの技術を新たに開発した。
(1)架線の地絡等が発生した際でも電力供給を継続できるように、静止型FCを制御して該当する回線の電圧を急激に下げ、電流を抑制する技術を開発(世界初の技術(特許取得済))

(プレスリリースより)

(2)ダイヤ乱れ等で列車が集中する場合、過負荷の発生を事前に予測し、回避するために必要な加速制限を自動的に算出する技術(世界初の技術(特許出願済))

(プレスリリースより)

・これにより、綱島周波数変換変電所の2台の回転型FCを静止型FCに取り替え、これまで技術的に実現困難だった、東海道新幹線のFCをすべて静止型FCとすることが可能となった。

効果
省エネ化
・年間約4千万kWhの電気使用量、年間約2万トンのCO2排出量を削減できる見込みで、カーボンニュートラルに向けた効果が期待できる。

省メンテナンス化
・回転型FCと比較して静止型FCは可動部分が少なく構成部品も少ないため、メンテナンスの省力化が見込める。これにより、将来労働力人口が減少していく中でも、メンテナンス体制を維持しやすくなる。
⇒省エネ化、省メンテナンス化により年間約9.8億円のコスト削減を見込む。

◎スケジュール
・2032年度末新3号静止型FC(綱島)運用開始予定
・2037年度末新2号静止型FC(綱島)運用開始予定
⇒2037年度末をもってすべてのFCの静止型化完了

工事費
 約268億円

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