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2020年 ブルーリボン・ローレル賞決定

2020.06.05
 鉄道友の会は、西武鉄道001系をブルーリボン賞(最優秀車両)に、また四国旅客鉄道2700系をローレル賞(優秀車両)に選定した。
◎各賞の選定理由(鉄道友の会発表原文ママ)
■2020年ブルーリボン賞(第63回) 西武鉄道001系
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写真:鉄道友の会

 西武鉄道 001系は、10000系 New Red Arrowより25年ぶりに投入された新型特急車です。
 
 001系という系列称号は、2012年に開業100周年を迎え、次の100年に向けてこれまでにない新たなフラッグシップ車両という思いを逆から表し、「00」には「∞(無限)」の可能性の意味も込められています。また「Luxury(贅沢)」な「Living(リビング)」のような空間、「Arrow(矢)」のような速達性、大きな窓から移りゆく「View(眺望)」のコンセプトから「Laview」という愛称が名付けられています。
 
 車体はアルミニウム合金ダブルスキン構造で、地下鉄線乗り入れも考慮された寸法となっています。独特な球面デザインの先頭部のほか、「都市や自然の中でやわらかく風景に溶け込む」というデザインコンセプトのもと、高精細アルミ粒子顔料や多層塗装工程により塗面平滑性が高く美しい仕上がりの半光沢メタリックシルバーのカラーリングが大きな特徴となっています。大型の側窓が等間隔に配置され、すっきりとした側見付と大きな眺望が両立されています。
 
 客室内は黄色を基調として明るく温かみのある空間にまとめられています。身体を包み込むような形状の回転式リクライニングシートは、可動式ヘッドレストやACコンセントなど機能が充実。カーテンは光の洩れ方、折り目・縫い目など入念な検討が行われたものが採用されています。車いすスペース・フリースペース、及び隣接する多目的トイレも電動車いす対応可能で、広い空間を確保。洗面所・パウダールームは女性意見を反映してハンドドライヤーや拡大鏡などが設置されています。
 
 機器類は、フルSiC 2レベルVVVFインバータ制御装置によりPGセンサレスベクトル制御が行われ、全密閉式三相かご型誘導電動機の採用により低騒音化・省電力化が図られています。制動方式は回生ブレーキ併用段制御式全電気指令電磁直通ブレーキで、遅れ込め機能付き。台車は軸梁式軸箱支持方式ボルスタレス空気ばね台車で、軸ダンパ搭載により乗り心地の向上が図られています。補助電源装置は3レベルIGBT-SIVで待機二重系として冗長性が向上。列車情報管理装置S-TIMが搭載され、各機器の指令・監視が行われています。
 
 001系は、スタイリッシュで特徴的な外観デザイン、良質な雰囲気を備えつつ機能性の充実やバリアフリーの促進が図られた客室・設備のほか、最新水準の機器類の積極採用による省保守性や信頼性の向上、環境負荷の低減など、現代の鉄道車両として完成度が極めて高く魅力あふれる車両にまとめられています。これらを評価し、ブルーリボン賞に選定しました。
■2020年ローレル賞(第60回) 四国旅客鉄道2700系
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写真:鉄道友の会

 四国旅客鉄道(JR四国)2700系は、登場以来30年を経過した世界初の振子式気動車2000系の置き換えを目的に開発された特急形気動車です。土讃線など山間部の曲線の多い厳しい線形に対応するため、引き続き実績のある制御付き自然振子式システムが採用されています。動力システム、車内外設備は2016年に登場した2600系を踏襲していますが、それより軽量化が図られているなど、これまでの技術を集大成した完成度の高い車両です。
 車両は運転台が上り方(岡山・高松寄り)に設置されているMc車2700形、下り方(高知・徳島寄り)に設置されているMc’車2750形およびMsc車2800形から構成されています。また、Msc車の先頭側を半室はグリーン室としています。輸送量に合わせて1両単位で増結が可能です。
 最大の特徴である車体傾斜については、2000系・8000系で実績のある制御付き自然振子システムを採用し、機構はベアリングガイド式を採用しています。自然振子は物理法則に基づく信頼性の高いシステムですが、曲線進入時に車体傾斜が遅れる問題がありました。これを根本的に解決したのが制御付き自然振子システムで、曲線進入の手前で緩やかに車体を傾斜させ車体傾斜遅れをなくすことにより、乗り心地を大幅に改善しています。傾斜角度は5°で、曲線半径600mで本則+30km/hを実現しています。気動車特有の推進軸が車体傾斜に影響を及ぼす問題は、エンジンを2台配置して相互に逆回転させることで、影響を打ち消す仕組みとなっています。制御付き自然振子、気動車での振子とも、JR四国がオリジナルでかつJR各社に普及した基盤的かつ汎用的技術を継承しています。
 車体は軽量ステンレス構造で、先頭構体は普通鋼となっています。内装は、グリーン車は茶系統でまとめられた落ち着いた空間、普通車は木質感のある床に青系統のシートが印象的です。LED間接照明、各座席のコンセント、大型のテーブル、車内LANなど、高いレベルの接客設備となっています。Mc車には車いすスペースと多機能トイレ、Msc車には多目的室も設置されています。
 ディーゼル機関は450PS(331kW)が各車2台の高出力、変速機は変速2段・直結4段の高性能なものになっています。
 2700系は、2019年8月に高徳線の特急「うずしお」に一部で投入後段階的に投入され、9月28日より特急「南風」「しまんと」「あしずり」および「うずしお」で定期運用に入りました。また、伝統の「アンパンマン列車」への投入も予定されています。近年空気ばね車体傾斜方式が増える中、新形式としては18年ぶりに制御付き自然振子システムを用い、優れた技術を継承するとともに現在の特急車両としての技術や設備を備えた完成度の高い車両であることを評価して、ローレル賞に選定しました。
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