text & photo:RM
取材日:’25.5.15 場所:盛岡車両センター
取材協力:東日本旅客鉄道盛岡支社
JR東日本では、2025年度より高崎・盛岡エリアに投入予定のハイブリッド方式の新型車両・HB-E220系を報道公開しました。

▲運転台形状は、電気式気動車GV-E400系によく似ています。
↓気になる車内の様子などはこちらからご覧ください!↓
このHB-E220系は釜石線、八高線などで活躍中のキハ100・110系列を置き換えるという位置づけ。すなわちJR東日本非電化ローカル線の主力を担う車両と言うことができます。従来同社のハイブリッド方式車両は小海線のキハE200形(製造3両)、仙石東北ライン用のHB-E210系(製造16両)、リゾート列車用HB-E300系(製造18両)という、どちらかと言えば特殊用途・運用であったのに対し、今回のHB-E220系は、32両というまとまった両数が一挙に投入されることになっています。

▲報道公開されたのは、片運転台のHB-E222形(写真手前)+HB-E221形。他に両運転台のHB-E220形も既に盛岡車両センターに搬入されています。
外観上の特徴としては、運転台の形状・デザインが電気式気動車であるGV-E400系によく似ています。そして実際メカニズムとしてはGV-E400系の電気系・動力伝達系回路に蓄電池を追加した感じと理解すれば良さそうです。すなわち、ディーゼルエンジンは発電機と直結しており、その電力を主変換装置を通じて台車に架装されたモーターを駆動。そしてブレーキ時にモーターを発電機として利用して蓄電池に充電をし、電力として再利用するという仕組みになります。燃費が向上するだけでなく、排気中の窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)を低減させたエンジンの採用によって環境性能も向上。さらに、液体式気動車特有の部品の削減や、電車と同様の機器が採用されていることでメンテナンス性も向上しています。
既存のハイブリッド方式車両との大きな違いが、主変換装置と蓄電池の箱が一体の床下配置となっていて、屋根上に蓄電池はないこと。従来車両で「ハイブリッド車の目印」的に搭載されていた蓄電池ユニットが姿を消し、すっきりした屋上となっています。
一方、客室設備はGV-E400系の2扉・セミクロスシートから3扉・ロングシートと大きく変更されています。一般の旅客用車としては異例なほど窓が少ないのが特徴ですが、その窓のないところの車内はトイレ、機器室、フリースペースのほか、優先席のロングシート部となっています。
トイレは電動車いす対応の大型のものを両運転台のHB-E220形、片運転台のHB-E221形に搭載。定員は1両編成で103名(キハ110系比でマイナス18名)、2両編成で243名(キハ110系比でマイナス24名)と減少しているのが気になるところですが、ラッシュ時にはロングシート車の強みが発揮されるのかもしれません。
今回公開された盛岡地区用としては、2両編成×6本、1両編成×4本の計16両が投入され、東北本線(花巻~盛岡間)、釜石線(花巻~釜石間)で、2025年度下期より運行予定となっています。



