text:鉄道ホビダス編集部
▲引退予定の2000形デハ2001-クハ2501編成と顔を並べる元南海2200系。
’24.02.08 銚子電気鉄道 外川 P:小沼健一郎
(今日の一枚より)
いよいよその姿を現し、銚子電鉄の線路へ降り立った元南海電鉄2200系。装いもデビュー当時の緑系の色とされ、関西圏のレイル・ファンからも非常に注目を集めています。銚子での再デビューが近い2200系ですが、これまでは歴史を歩んできたのでしょうか。
■南海「ズームカー」の一族として生まれる
南海2200系の前身である、22000系は1969年に登場しました。この22000系の登場当時まだ河内長野から橋本までが線形改良前で、17m級の車両しか入線できませんでした。とはいえ、河内長野より難波方面へは沿線の開発も進み人口も増え、全車が短い車両だと輸送力に問題があったことから、河内長野〜難波間の増結用車両ということで登場したのがこの22000系でした。当初より増結することが目的の車両だったため、全車が2両編成で落成。また、先に登場していた21000系同様、平地から勾配区間まで強い牽引力を発揮する性能を持つ「ズームカー」の一族として生まれました。なお、21000系では湘南スタイルだったものが、この22000系では両開き扉で角張った前面形状を持っていたことから「角ズーム」の愛称で親しまれました。
この車両の制御装置は南海で初となる1両で2両分のモーターを制御できる「1C8M(1両で8つのモーター=2両分を制御)」方式を採用しており、さらに当時600Vだった南海線の1500Vへの昇圧を見越して、制御装置は当初から600Vだけではなく1500Vにも対応した「複電圧仕様」として落成しています。なお昇圧は1973年に行なわれました。
■更新工事により2200系に
デビューから20年以上が経過した1994年、22000系は大規模な更新工事により「2200系」と系式を改めました。この2200系は高野線で引き続き運用することを想定した改造が施されましたが、支線転用向けで改造メニューが若干異なる2230系や2270系なども登場しました。なお、銚子電鉄へ行ったモハ2202-モハ2252は元モハ22007-モハ22008の2両。1969年10月生まれで、30年近く前に更新は受けているとはいえ、今年でなんと55歳にもなる長寿車両です。
しばらく高野線で運用されていましたが、後継車両の登場でこちらも支線用に転用。その際ワンマン化改造などが施され、今に至ります。なお、高野線運用時代、増結用として運用されていた関係から幌枠が残されており、外観上で2230系や2270系とは大きく違う点です(2230系は幌枠撤去、2270系は貫通扉埋め込み)。
この度銚子にやってきた2200系。思えば近年では珍しい、関西私鉄から関東私鉄への譲渡例ともあり、大きな話題を呼びました。先日ついに改造を終え、銚子電鉄に搬入。外川駅では早速置き換え予定の2000形デハ2001-クハ2501編成と顔を合わせるなど、盛り上がりを見せています。南海高野線とその支線を50年以上渡り歩いた大ベテラン。銚子で穏やかな余生を過ごしてもらいたいものです。