▲最後の活躍を続ける381系「やくも」。現在6両1本が国鉄特急色にリバイバルされている。
’23.11.29 伯備線 方谷〜備中川面 P:斎藤至史
岡山から伯備線を経由し米子や松江、出雲市へ向かう陰陽連絡特急「やくも」。現在すべての列車が381系で運行されていますが、日本で最後となる国鉄型車両を使用した定期特急であるということや、様々なリバイバルカラーの登場、さらに新型273系の投入発表などで話題の列車です。そんな381系のリバイバルカラーのうち、「第1弾」として登場した昔懐かしいクリームと赤の「国鉄特急色」ですが、その始まりはいつ頃だったのでしょうか。
【写真】あなたの思い出の列車は?懐かしの国鉄特急色を纏った車両たち!
■1958年に「こだま」から始まった
東海道本線の全線電化を契機に、東京〜大阪間を結ぶ国鉄初の電車特急として登場した「こだま」。用意された車両は20系電車、後の151系(181系)と呼ばれるもので、ボンネット型の流麗なフォルムは当時としては斬新なものでした。この時初めてクリーム4号を地色に赤2号の帯をあしらった塗装が採用されたました。そのほかにも先頭車に掲げられた特急シンボルマーク、そして側面に取り付けられたJNRマークは一般公募によるもので、こちらも後の国鉄特急型のマークとして塗装とともに定着していきました。
■全国に広がる国鉄特急色
客車列車に取って代わる特急型電車・気動車は昭和中期から続々と登場し、交直流電車として全国的に活躍した485系列や気動車特急キハ80系にキハ181系、国鉄唯一の交流専用特急型電車781系など、車両のタイプ問わずこのカラーリングが広まっていくことになります。
また、このカラーリングのバリエーションとして、昼夜兼用特急型電車として開発された581系と583系にはクリーム1号地と青15号帯としたカラーリングが施され、この配色はこれら2系式のみに塗られたものでした。
■一時消滅した国鉄特急色 まさかの復活
国鉄の特急型で常に採用され続けていた国鉄特急色。ですが1981年、伊豆方面への急行の特急格上げで新製投入された185系は、「アイボリーホワイト」とも言われるクリーム10号に、緑14号の帯が横ではなく斜めに入れられるという当時としては斬新な塗装で登場。特急シンボルマークやJNRマークなどは取り付けられていたものの、従来の国鉄特急のイメージを覆す塗装は話題を呼びました。
その後1987年には国鉄が分割民営化。JR各社が誕生すると、特急型車両も地域性を打ち出すためのほか、リニューアルされるなどしたときに各地でオリジナルカラーに塗装変更される車両も続々登場し、国鉄色はその数を減らしていきました。
ですが、2000年代に入るとこの国鉄色は「レトロ」「懐かしいもの」として再び受け入れられるようになります。一時はオリジナルカラーに塗られていたものの、国鉄色に戻される車両が出てきたり、リバイバルトレインに抜擢され、レイル・ファンたちを沸かせたりもしました。
そんな国鉄特急型も寄る年波には勝てず、2018年に最後の国鉄色を纏った豊田車両センターの189系が引退したことで、一時的にこの色は本線上から姿を消しました。
ですが2018年末、「いなほ」で活躍していたE653系が古巣である勝田車両センターへ波動用編成として戻ってきた際、この国鉄特急色をイメージしたカラーリングに変更されて大きな話題になりました。一時は消滅した色が復活したということです。
加えて、2022年には最後の国鉄特急型車両を使用した定期列車として注目を集めていた381系「やくも」編成の1本が国鉄特急色にリバイバル。2023年からはJNRマークも復刻され、往年の姿が再現されています。ですが、先述の通り「やくも」は2024年春のダイヤ改正で順次新型273系に置き換えられることが発表されており、この国鉄色381系も2024年6月末で運行を終える予定です。
E653系は当面活躍を続けるものと思われますが、国鉄型に塗られた国鉄特急色としては再び本線から姿を消すことになります。151系の登場から66年、国鉄が分割民営化された現在では特急列車も地域性が上がり、さまざまな塗装の車両が走るようになりました。