text&photo:鉄道ホビダス編集部
取材協力:東京地下鉄株式会社、株式会社はとバス、岩倉高等学校
いささかステレオタイプかもしれませんが、いつの時代も子どもにとって「乗り物」は特別な存在です。そして、「普段は入れない」というキーワードもまた、人々をひきつけてやみません。
7月23日に開催された「東京メトロ綾瀬工場&岩倉高校 探訪ツアー」は、そんなキラーコンテンツを盛り込んだ、乗り物好きの子どもたちにとって夢のようなツアーイベントと言えるでしょう。
東京メトロとはとバスが共同で開催したこの企画は、タイトルのとおり東京メトロ綾瀬工場、そして鉄道業界へ多数人材を輩出してきた岩倉高校を見学し、その2か所をつなぐ移動をはとバスでするという贅沢なもの。
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今回募集されたのは、親子限定で40組80名。20組40名ずつに分かれて、綾瀬工場、岩倉高校それぞれからスタートしていく段取りです。我々が取材をしたのは綾瀬工場から始まるグループで、9時半過ぎに参加者たちが会場に到着してきました。
・いざ、綾瀬工場へ!
社員食堂で簡単な説明を受け、まず初めの見学場所は整備工場。大型の体育館を思わせる建物に入ると、台車を外されウマに乗せられた車両が並んでいます。千代田線の基地というイメージが強い綾瀬ですが、整備や点検には有楽町線や南北線の車両も入庫するとのことで、今回は南北線用の9000系が検査を受けていました。
先頭車には岩倉高校の生徒さんがデザインしたヘッドマークが掲げられており、用意された子ども用の制服を着て記念撮影タイム。その後はスタッフの方に工場の仕事について質問したり、特別に点検中の車両内部を見学したりと、参加者たちは特別な時間をゆったりと過ごしていました。
続いて一行が向かったのは、綾瀬車両基地の留置線。千代田線の車両はもちろんのこと、乗り入れ運転を行うJRや小田急の車両も止まっており、参加者にとっては思わぬサプライズとなりました。
また、留置線脇の点検ピットも今回特別公開されたポイントのひとつ。先ほどの整備工場で点検・整備を済ませた車両はこのピットで動作不良などのチェックを受け、その後構内試運転を受け、本線へと戻っていくそうです。ここでは、有楽町・副都心線用の17000系の目の前に立ち、特製ヘッドマークを持っての記念撮影タイムも設けられましたが、枕木に乗って、手で触れられる距離まで車両に近づけるという貴重な経験に、目を輝かせる子どもたちの姿が印象的でした。
その後食堂に戻って質問コーナーが催されましたが、子どもたちからは想定以上のマニアックな質問も飛び出し、スタッフの皆さんがタジタジになる場面も。和やかな雰囲気で午前の部が終了し、はとバスで次の見学地である岩倉高校へと向かいます。
・移動は2階建てバス!
ところで、はとバスが東京メトロとコラボしたツアーを実施するのは今回が初めてとのことで、用意されたバスも特別なもの。ベルギーのバンホール、スウェーデンのスカニア、はとバスの3社で共同開発をしたという2階建てバスは、子どもだけでなく大人のテンションも上げてくれた様子でした。
岩倉高校に到着した一行は、ランチルームで昼食タイム。同校の生徒さんがデザインした掛け紙のお弁当を楽しみ、校内各所の見学がスタートします。生徒さんの案内で校内をひと通りまわりましが、中でもひと際盛り上がっていたのが、HOスケールの大型レイアウトが置かれた資料室。ここでは運転体験ができるとあり、子どもたちは夢中になって車両を走らせていました。
・え! これが学校なの!?
続いては、岩倉高校見学の目玉のひとつでもある「電車運転実習室」。ここでは実際の車両を使った様々な実習が行われており、運転シミュレーター、ドア開閉やアナウンスができる車掌体験、そして特急車両の運転台見学などを代わる代わる行います。また、鉄道博物館さながらの設備には同行の親御さんも驚いている様子でした。
ほかにも、教材として使っているパンタグラフや台車の構造を教えてもらったり、鉄道模型部の生徒さんによるNゲージ運転体験コーナーなどを楽しみ、ツアーは16時頃に終了。各社のお土産をもらった参加者たちは大満足の表情で帰路につきました。
今回のツアーを企画したCX・マーケティング部の板倉さんによると、「親子向けやマニアの方向けなど、鉄道好きの方々それぞれに喜んでいただけるツアーをお届けしていきたいと考えていますので、ご期待ください」とのこと。次にどんなアイデアを提案してくれるのか、期待して待つことにしましょう。
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