text:RM photo:三ツ矢健太(特記以外)
▲EF210形(2両)、EF66 100番代と並ぶM250系「スーパーレールカーゴ」。
‘23.5.5 東京貨物ターミナル
東京貨物ターミナル~安治川口間で毎日夜間に運行されているSRCこと「スーパーレールカーゴ」。JR唯一の「動力分散式」(=電車方式)貨物列車として独自性の高い存在です。車両としての系列名はM250系、16両編成の前後2両ずつが動力車となっています。最初の編成が登場したのが2002年、営業開始は2004年3月のダイヤ改正からだったので、デビュー20周年ももう間近なんですね。本記事では、先日の東京貨物ターミナル公開イベントで展示された同系を観察して、ちょっと気になるポイントを紹介したいと思います。
●Mc250-4だけ! 正面のロゴがなぜか無い…
M250系は、登場当初、前面に楕円形で荷主の佐川急便の欧文ロゴマークを象ったヘッドマークを装着していました。しかし2010年頃の塗装更新の際にこのヘッドマークを外し(取付用ステーも除去)、車体に直接ロゴマークを貼付するようになりました。このロゴマーク、ヘッドマーク時代よりもシンプルに「SAGAWA」というロゴをあしらったものですが、6両いる先頭車のうち、なぜか現状4番だけ、ロゴマークが貼付されていない状態で運用されています。
▲当日展示された4番(左写真)と5番。楕円形ロゴマークの有無が異なります。他の4両は5番と同じで、4番だけロゴなし状態というのが続いています。’23.5.5 東京貨物ターミナル
●「貨東タミキク」…なにそれ呪文?
旅客会社の電車や気動車には「電略」とも呼ばれる所属標記が記されています。JR貨物唯一の電車であるM250系にも、それとちょっと似た様式の所属標記が記されているのですが、なんと「貨東タミキク」という呪文のような長い文字となっているのが特徴です。実際の所属区は「大井機関区」なのですが、これは東京貨物ターミナルと同じ場所にあることから、「JR貨物、東京貨物ターミナル、機関区」を略したものと考えられます。
▲車体裾部分に記された「貨東タミキク」の所属標記。’23.5.5 東京貨物ターミナル
●見慣れないこのコンテナ…佐川急便の私有コンテナではない?
スーパーレールカーゴは佐川急便が荷主となっており、同社の私有コンテナしか積載しないことになっています。しかし当日展示されたM250系には見慣れないコンテナ、しかし「SUPER RAIL CARGO」のロゴがしっかり入っているものがが積載されていました。
この正体はZ54A形コンテナ。JR貨物が所有する事業用コンテナで、M250系登場時の性能試験時にダミーとして積載するために準備されたものです。営業運転開始後も検査後の試運転などで使用されたようですが、現状での詳細は不明。もともと10個のみ製造されたレアコンテナであることは間違いありません。
▲事業用コンテナのZ54A。’23.5.5 東京貨物ターミナル
●編成内で連結器が3種類…?
M250系の先頭部には、機関車などと同じ並形自動連結器が装着されていますが、編成内の連結器はそれとは異なるものが使用されています。Mc250形+M251形、およびT260形+T261形のユニット間連結は半永久連結器、そして異なるユニット同士は密着連結器が使用されます。
▲非ユニット間の連結に用いられる密着連結器。’23.5.5 東京貨物ターミナル
▲ユニット間での連結に用いられる半永久連結器。’23.5.5 東京貨物ターミナル
●運転室背面ってどうなってるの?
こちらの写真をご覧ください…!
▲運転室・機器室の背面には貫通路・扉があります。’23.5.5 東京貨物ターミナル
▲日の長いこの時期は、SRC撮影のチャンスです…! ’22.5.3 南武線(南武支線) 八丁畷
◆新刊情報 今回のレイル・マガジンは「貨物列車2023」
毎年5月発売で好評をいただいておりましたレイル・マガジンの「貨物特集」。2023年版も、2022年版に引き続き「丸ごと一冊貨物特集!」のムックとして登場です!
特別付録も、毎年恒例の「JR貨物機関車運用表・機関車運用番号入り 主要路線貨物時刻表」を最新版にアップデートの上で制作。機関車運用をしっかり研究して、撮影に役立てていただければと思います。また時刻表の部分は編集部独自のポリシーによるソートを行ったもので、最も撮影者が多い区間で時刻順に並べ直しており、沿線で列車を待つ時に便利さを実感いただけることでしょう。