185系

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新潟から南武支線への転属 なぜ注目?E127系0番代活躍の歴史

2023.06.10

text:鉄道ホビダス編集部

‘23.6.5 東海道本線 国府津 P:寺尾武士
(鉄道投稿情報局より)

 2023年2月のプレスリリースで発表された南武支線へのE127系0番代投入。新潟地区から首都圏というあまり例を見ない転属劇は話題になりました。

↓E127系0番代の活躍を振り返る!写真はこちら↓

■元々は新潟地区の輸送形態改善のため登場

‘22.9.26 上越線 浦佐~八色 P:鷲澤拓弥
(鉄道投稿情報局より)

 E127系0番代は1995年に登場した直流電車です。当時の信越・羽越・越後線などの一部普通列車には急行型電車である165系を使用していましたが、これらの車両は当時すでに製造から20年以上経過した車両が大半であったことや、急行型車両なため2扉のデッキ付きというラッシュ向きではない構造もあり、早急な改善が求められていました。そこで3ドアのオールロングシート車として製造されたのがこのE127系0番代です。

■えちごトキめき鉄道開業で多数が譲渡

 長らく新潟近郊で活躍を続けていましたが、2015年3月に転機が訪れます。それが、北陸新幹線の開業と並行在来線の第三セクター化です。北陸新幹線の並行在来線となった信越本線 妙高高原〜直江津間が第三セクターのえちごトキめき鉄道に移管され、「妙高はねうまライン」として再スタートを切りました。この路線用の車両として、新潟地区で活躍していたE127系10本が同社に譲渡。これによりJR東日本に残存するE127系0番代は2本のみとなり、以降は弥彦線と吉田〜新潟間の運用に限られました。その最後に残された運用も、2022年3月に終えることとなり、その後の処遇はどうなるのか注目されていました。

■ピンチヒッター登板!そして南武支線への転属劇

‘23.6.5 東海道本線 国府津 P:寺尾武士
(鉄道投稿情報局より)

 そんなE127系の引退後である2022年6月、落雷の影響でE129系の一部が故障。これに伴い上越線の長岡〜越後中里間の一部列車でE127系0番代が代走することとなりました。これには引退したはずの車両の復活ということもあり大きな話題に。もちろんE129系が復帰するに伴い代走も終了し、今度こそ新潟地区からは引退となりました。

 そして2023年2月、プレスリリースにて正式に南武支線への転属が発表され、あまり類を見ない動きの車両転属が実現することとなったのです。そもそもとして、「転属」というのは、元々所属していた車両基地から別な車両基地に移ることを指します。特に通勤・近郊型電車でよくあるのは、都市部で使われた車両が地方の路線に移る例ですが、今回のE127系は、元々新潟で活躍していた車両の首都圏転属、しかもE127系0番代自体が首都圏近郊ではまず見ることがない系式ということもあり、この動きは注目されるものとなりました。
 車両外観上は帯色の変化ほどで大きくは変わりませんでした。特に行先表示に関しては、近年LED式に交換される例が多い中、落成当時同様の字幕式(方向幕)を維持しており、ほぼ新潟で見慣れたE127系の姿のまま活躍を始めることとなりそうです。ただし、南武支線という短距離を行き来する車両ということからか、プレスリリースにはトイレの使用に関する記述はありませんでした。

 編成記号も番号こそ変われど新潟時代同様の「V編成」を名乗り続けるE127系。工場などの多い南武支線沿線でも、末長く愛される電車となってほしいものです。

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