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新旧混在こそがリアルな情景!鉄道模型プラットホームのロングセラー製品を現代風にアレンジしてみた。

2022.10.28

modeling & text & photo:根本貫史(RMM)

 時代の流れと共に積層された側壁、増設された異なる構造の上家…。歴史ある路線ほど、プラットホームにはその痕跡が刻まれています。模型の場合、好みの同一製品を配置するだけで構成されるホームですが、新規開業路線や駅の大規模改良がない限り、模型のような規則正しい仕様の揃ったホームはなかなか存在しません。そこで今回は、魅力的な新製品に押されつつも、今なおロングセラーなTOMIXの既存ホーム製品を「混在」させて使った作例を紹介していこうと思います。

↓詳しい製作時の写真と解説はこちらから!↓

■ホームの嵩上げでローカル型ホームを現代風に!

▲TOMIXの島式ホーム4種。左からローカル型・基本型・近代型・そして最新の都市型。作例ではこれに対向式(いなか駅)を加え、都市型はアクセサリーだけを使う(ここで余剰となった本体は別の作例に活用)。

 TOMIXのホームはまず高さが異なります。ローカル型がもっとも低く10mm。次いで基本型・近代型・対向式(近代型・いなか駅共)12mm。そして最新の都市型が13.5mmとという高さ。作例ではプラ板で積層させることで、全てを都市型の高さに統一させていきます。
 まずはホームを嵩上げするため、各ホームの上家を全て外し、上家の取付穴は、積層するプラ板に位置をトレースして開け直します。基本型は水飲み場がモールドされているので、ニッパーでカットして撤去跡を平滑に仕上げていきます。また、各ホームごとに接続方法が異なるので、全て断面を平滑にしておきました。

 積層させるプラ板はt1.0を使用(一部調整用にt0.5を使用)。基本的に2層構造(ローカル型は4層)で、下層はわずかに幅を詰めて、断面の積層が明確になるようにしました。端部は元のレベル部分を部分的に残し、段差は三角棒でスロープ状に加工(アスファルトで段差を解消させたような表現で簡素な施工状態)。また、ホーム端部断面はプラ板で塞ぎ、ミニホームセットに付属する階段パーツを接着しました。余剰パーツを捨てずに持っておくと、こういう場面で役に立つことがあります。
 対向式ホーム(奥)は嵩上げ後にワイドレール用側壁パーツを接着しました。同じ面で混在使用する島式ホームも、同様に加工して対向式化させます。

■塗装と「小物」で現代的なプラットホームを演出

 ホーム本体は下地をライトグレー、その上から黒をまぶし吹きしてアスファルトの質感を演出。その後アスファルト部分はマスキングし、今度はライトグレーを吹いてコンクリートの質感を出していきました。塗装は表面をザラザラにするため各色ともサーフェーサーを使用しました。

 滑り止めと点字ブロックの表現は、ポポンデッタのマスキングテープを使用します。貼り付け後にテープ側の路面表現だけを剥がしていきます。

 続いて上家の加工。標準型には現代にそぐわない設備(具体的に時計や旧型サイズの駅名標)がモールドされているので、それらをニッパーで撤去します。駅名標はニッパーの刃先が入りにくいので、カッターで筋を入れてから、指で折ると簡単に撤去ができます。
 上家の塗装は、下地として全体に黒を塗装してから屋根部分をライトグレーでまぶし吹きしていきます。屋根表面をマスキングしてから、裏面と支柱をアイボリーで塗装。下地に黒を塗ったのは、光の透過を防ぐ意味もあります。特に照明を組み込む場合は必ず施しましょう。

 その後、都市型に付属のアクセサリー類を付けて仕上げとしていきます。作例ではパーツ捻出のためにホームを別で購入しましたが、従来品にも使うことができるので是非とも分売してほしいところです。上家内の吊下げパーツは、取付穴のない標準型を除き取付ピッチに互換性がある場合が多く、脚の長さ調整だけで装着ができます。標準型の場合は金型の押出しピン跡が取付台座として使えるので、そこにピンバイスで穴を開けます。

↓詳しい製作時の写真と解説はこちらから!↓

 製品名では「ローカル型」と謳っていても、大規模な工事がしにくい都会の駅の方が、むしろ旧式のホームがひっそりと残っている場合が多いです。あまり品名に捉われず、実例に合った製品選びをするとよりリアルな情景に一歩近づくでしょう。

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