取材日:’21.11.2
text & photo(特記以外):羽山 健(RM)
同行取材:遠藤イヅル 取材協力:ひたちなか海浜鉄道
隔月刊行時代のレイル・マガジンで連載した「シーナリー散歩」。WEB編は「『駅』を訪ねて…」に再構成してお届けしています。2022年1月号では、茨城県の第三セクター鉄道・ひたちなか海浜鉄道を取り上げました。今回のWEB編では、前回の「磯崎駅」の次駅、終点となる「阿字ヶ浦(あじがうら)駅」をご紹介します。
■鉄道神社のご神体は…
この阿字ヶ浦駅には、世界初と言われる(そりゃそうかも…)、鉄道車両をご神体として祀る「鉄道神社」が2021年に建立されました。
▲古レールを組み合わせた鳥居の向こうに、ご神体「キハ222」が静かに佇んでいます。
▲キハ222は羽幌炭礦鉄道から移ってきた車両で、国鉄キハ22形とほぼ同形。1962年製造、2015年まで現役で、その53年間の現役期間に無事故だったということがご神体として選ばれた所以とか。
▲「三鉄ものがたり実行委員会」の皆さんによって鉄道神社は企画・運営されています。
▲駅舎、鳥居、キハ222の位置関係がわかるカット。
▲鳥居を形作る古レールは1925年製造の刻印があり、湊線の全線開通がそれより後の1928年製であることから、ずっとこの鉄道を見守ってきたものと言えます。
▲キハ222の奥にもう1両、キハ2005も保存されており、取材時は塗装のための足場・覆いが掛かっていましたが、その後見事に完成し、今はキハ55風の国鉄急行色も美しい姿となっています。
■駅舎はシンプルながら決して小さくはない
当駅の駅舎は外壁や屋根材こそ更新されていますが、昔ながらの木造切妻形で、ここまで見てきた同線内の駅舎では那珂湊駅に次ぐ規模です。今は無人駅ですが、駅前にはバス停もあり、交通の結節点としての役目は今も務めているようです。
▲シンプルながら駅前ロータリーがあり、地方での公共交通機関としての存在感を感じさせてくれます。
▲元は同門の茨城交通バスが停車して客扱い中。よく見ると駅舎入口は正面と側面の2方向に設けられています。
▲駅舎を正面から見たところ。右手の元の駅事務室部分は窓などが埋められて倉庫的になっているようです。
▲駅舎右手の傾斜屋根部は増設されたのであろう便所部分。
▲ホーム側から見たところ。こちら側は案外複雑な形態で、かつての駅事務室の面影も留めています。
▲島式ホームと駅舎を結ぶ構内踏切は、既に列車が通ることはありません。
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次回は、ホームやその周辺の様子をご紹介します。