特集・コラム

この夏巡りたい!模型のような風情ある駅舎たち… 伯備線にある4つの駅を訪ねて

2022.07.26

text & photo:上石知足(鉄道ホビダス)

 山陽地方と山陰地方を南北で結ぶ伯備線。途中、中国山地の山間を川に沿って抜けていく風光明媚な路線でもあり、ちょっと降りてみたくなるような駅が点在しています。そんな伯備線の「気になる駅」たちを編集部が4つピックアップ。今回こちらの記事でご紹介します!

■まるでNゲージ製品の木造駅!?美袋駅

 この土地をよく知らなければ読むことが難しいであろう美袋(みなぎ)駅は、Nゲージの製品でよく見かけるような典型的な木造駅舎を持っています。その形状は、既製品を活用して再現できないかとつい考えてしまうような見た目をしています。

 概ね外観は1925(大正14)年の建築当時の面影を色濃く残していますが、窓廻りはアルミサッシに更新されています。ですがむしろ、そのような更新された箇所を模型製品のタッチアップなどで再現すれば、「今を生きる」木造駅舎を手軽に再現できるポイントとなるでしょう。駅舎内部は観光ギャラリーなども併設し、綺麗に整備されている印象を受けました。

 また、生垣と標語が書かれた柱、電話ボックスに丸型ポストと、細かいディテールも駅前を彩っています。鉄道模型でも、単純に製品を置いた上にプラスでこのような設備や特徴を再現すると、より駅に「表情」が出てくるのではないでしょうか?

■入り口の柱の意匠に注目!方谷駅

 この方谷(ほうこく)駅は、高梁川の渓谷沿いにあるということもあり、かなり山間に存在する駅です。国道が近くを走っているものの、緑豊かな景色を駅周辺では眺めることができます。方谷駅の駅名は地名などから取ったわけではなく、この地域に所縁のある備中松山藩士の山田方谷に因むという、全国でもちょっと珍しい人名由来の駅だったりします。

 駅舎は瓦屋根の木造ながらも、美袋駅のそれとは似て非なるものとなっており、大きさもちょっと小さめ。また、駅前の生垣には1本大きな木があるのがとても印象的です。さらに、駅舎入り口の屋根を支える柱をよく見ると控えめながらもおしゃれな彫刻が掘られています。外壁の板の色味も上下で異なっており、塗装で再現するなどしてその駅の特徴を出すヒントになりそうですね。

 駅に入るとレトロな国鉄時代からの駅名標がある傍ら、2021(令和3)年から使用が開始されたICカードに対応する簡易改札機が鎮座しており、そのギャップもまた魅力的に思えます。

■伯備線の中継地点 新見駅

 特急を除く伯備線を行く列車の多くの「中継地点」となる新見駅。ほとんどの列車がこの駅で運転系統を分けており、駅前も商店や家が立ち並び活気があります。また駅から少し行くと古い街並みも残っており、観光するのも楽しい場所となっています。

 そんな新見駅、駅舎はえんじ色の瓦屋根が可愛らしい印象を受けるレトロなものとなっています。外壁はアイボリーに近い白色をしており、屋根とのコントラストが模型で再現すると非常に「映え」そうな見た目をしています。

 ホームへ上がると、屋根も趣のある美しい曲線を描いた柱がずらりと並んでおり、こちらも印象的です。また、プラットホームそのものに目線を移すと、ホームの「地層」も観察しておきたいポイントの一つ。汚れ方など模型を仕上げる際に参考になるかもしれないと1枚撮影しておきました。

 ちなみに、新見駅前すぐに観光案内所があり、ここでレンタサイクルを借りて新見市街を散策することができます。これからの季節は熱中症など気をつけたいところですが、適度に自転車で風を感じながら、伯備線を巡る旅もなかなか楽しいものでした。

▲こちらは駅からレンタサイクルで訪れた第11高梁川橋梁。黄色い2両編成の115系と深々とした緑に彩られた山々のコントラストがとても美しい。

■「伯備線と案内された列車」では降りられません 布原駅

 レイル・ファン、それもSL時代を知る方なら知らない人はいないと言っていいほど有名な布原駅。かつては伯備線蒸気機関車三重連の名撮影地として名を馳せたスポットでもあります。そんな場所に存在するこの駅の歴史は、まず信号場として開業した後、国鉄時代には仮乗降場として旅客扱いを初め、JR化したと同時に駅に昇格した経緯があります。
 ですが、この駅は伯備線に所属しながらも「伯備線」と駅で案内される列車で到達することはできません。というのも、ここに停車し旅客扱いを行なう列車は全て芸備線直通のディーゼルカーに限られるからです。

 そのため列車本数も少なく、列車で行く難易度は高めです。また、車で向かうにしても、周囲を山で囲まれており、それらを超える必要があることからこちらもまた難易度は高めです。

 ただ、旅客扱いを行なわないただの運転停車に限って言えば、伯備線の列車も停車します。今回訪れた際には115系が東京からの下りサンライズ出雲号を待ち合わせしました。このような実態から、現在でも駅でありながら信号場的に頻繁に使われるため、この駅に降り立つとシンプルな構造も相俟って駅というよりか、「降りられる信号場」のような感覚になります。


■今月のRM MODELSは「ロケハン」特集!

 リアルな情景を製作するには、やはり実景の考察が重要となります。今ではWebやスマホの画像、航空写真からでも、作りたい風景の「雰囲気」だけは探すことが容易にできますが、その地形の様子や地図では見えない建物の細かい部分、人々の営みや空気感・香りなど、実際に訪れなければ知ることのできない情報も多く存在します。
 そこで今回の特集は夏休み直前ということもあり、情景作りのための「ロケハン(ロケーション・ハンティング)」のテクニックを大特集!目的の地域や路線の選定から、ロケハンで抑えて起きたいポイントなどを、編集スタッフ自ら実践して詳しく紹介していきます!

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