text & photo:根本貫史(RMM)
Nゲージ車両では最もメジャーなプラスティック完成品。特に最近は車体の塗装・印刷技術の向上による、繊細かつカラフルな車両の製品が続々と登場しています。が、車体が美しくなればなるほど気になってくるのが、屋根上や床下のプラ成形色で表現された未塗装部分。成形色の色味によっては、透過性のあるプラの質感がそのまま露呈して、鉄道車両らしい重厚感が損なわれていることも。 そこで今回は、プラ完成品車両の床下を塗装し、製品全体の印象を引き締め、重厚感を表現する手法を紹介します!
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■床板・台車の分解と洗浄(脱脂)
床下を塗装するためには、まずは床板と台車 を分解する必要があります。分解する時は、部品構成など、製品の構造をよく理解しながら慎重に作業しましょう。
プラ製車両の床下(床板・台車)の多くは、未塗装の成形色で表現されています。そのため、 成形時に付着した油分がそのまま残っているので、中性洗剤でしっかり洗浄(脱脂)します。
■プライマーによる下地処理
▲床板や床下機器は、素材によっては表面を荒らしてしまう恐れがあるので注意。塗布は台車だけに留めたい。
プラ製完成品車両の台車は、塗料が定着しにくいナイロン系の素材が使われています。 そのため、台車を塗装する際は下地処理としてプライマー を塗布します。作例では、ホームセンターなどで入手できる、染めQの「ミッ チャクロンマルチ」を使用しました。密着性 や耐久性に優れており、台車はもちろん、パ ンタなど金属部分の下地処理にも最適です。
■とにかくツヤを消す!
▲施工前。
▲施工後。
プラの質感を消すだけなら、 ツヤ消しクリアーを吹くだけでも十分効果が得られます。作例ではGSIクレオスのMr.スー パークリアー(ツヤ消し)を使用しました。ツヤを抑えることで、ディテールがより強調され、床下が引き締まります。
■サーフェイサーで床下塗装!?
▲施工前。
▲施工後。
▲施工前。
▲施工後。通常のグレーサフにブラックサフを足すことで、ダークグレーの調色も可能。透過性のあるプラの質感が解消され、床下が引き締まった。
サーフェイサー といえば明灰色が 定番ですが、最近は黒や茶色など、 下地色の選択肢が増えています。作例ではGSIクレオスの各種サーフェイサーを使って床下を塗装してみました。特にマボカニー(茶系色)はウェザリング調に仕立てることが可能で床下塗装にうってつけです。
■お手軽なアクリル塗料
▲タミヤのアクリル塗料で床下を茶色く塗装した作例。指で強く擦り続ければ当然剥離してしまうが、その時はまた再塗装すれば良い。また剥離したのも見ようによってはリアルに見える。
最後に紹介するのは アクリル塗料を使った塗装です。作例ではタ ミヤのアクリル塗料を使用しましたが、水性で扱いやすく、筆塗りも塗装可能です。塗装面の耐久性は、指で強く擦り続けると剥離しますが、 通常の取扱いであればしばらくは問題ないでしょう。
さて、今回はプラ完成品Nゲージを使って床下塗装のやり方とその効果について見てきました。プラスティックの質感がハッキリ出てしまっている製品状態からこの一手間を加えることでより実車の雰囲気を模型で楽しむことができます。ぜひ皆さんも自分が一番気に入ったやり方で、お気に入りたちの「足元」を引き締めてみませんか?