text & photo:RM
取材日:’22.5.25 場所:名古屋工場
取材協力:東海旅客鉄道
JR東海の名古屋工場は、国鉄時代以来、東海地方随一の車両工場としてその名を馳せてきました。1987年にJR東海に移管、2012年に同社浜松工場での在来線車両検修が終了して以後は、同社在来線車両すべての担当工場として重責を担っています。
▲耐震工事が完了した建屋。
この名古屋工場、今年3月に耐震工事が完了し、合わせて各種最新設備も導入。本日その内部が報道公開されました。車両ではなく、工場設備が対象の報道公開というのはかなり希少な機会と言えるでしょう。
▲床もピカピカの建屋内。
■在来線車両用としては国内初の「水性塗装ロボット」
塗装職場は有機溶剤の使用に関する負担や大面積を塗る際の過大な労力などにより、職員にとってかなり過酷なもの。これを自動化・かつ水性塗料化により、労働環境改善と環境負荷低減が実現します。なお、JR東海の在来線用車両は現在ステンレス車のみとなっており、塗装対象としては主に先頭部となります。
JR東海名古屋工場に新設された、在来線車両用としては国内初となる水性塗装ロボットをご覧ください。 pic.twitter.com/cRchSzpE8s
— Rail Magazine(レイル・マガジン)【公式】 (@RM_nekopub) May 25, 2022
■車体洗浄装置
所属車両区における日常的な洗浄ではなく、検査前後に洗浄を行うもの。従来手洗いだった前頭部の洗浄が自動化されました。車体肩のところ専用の「肩ブラシ」も備えています。
JR東海名古屋工場に新たに導入された車体洗浄装置です。前頭部の洗浄を自動化しました。このように肩部も洗浄しています。 pic.twitter.com/25GnFbxpTu
— Rail Magazine(レイル・マガジン)【公式】 (@RM_nekopub) May 25, 2022
■輪軸検査修繕ライン
▲輪軸貯留庫(立体駐車場のような仕組み)に整備完了した輪軸を1軸ずつ自動で移動させる機械。
▲装置はレールに対して横方向に可動し、対象物の運搬を効率化しています。
■自動浮上式止水板
ゲリラ豪雨対策として、豪雨時に自動的に下から上がってくる止水板。この止水板の厚み分の短いレールごと上がる仕組みになっています。
■安全スクール
▲社員への主に安全に関する教育を行う施設も設置されています。
名古屋工場では、JR東海在来線全車両だけでなく、東海交通事業・愛知環状鉄道・名古屋臨海高速鉄道などの車両の検査も受託しています。いわば東海地方の鉄道車両の総合病院的な存在。最新設備の導入により、今後も安全で快適な輸送を目指そうという姿勢が伝わってきました。