modeling:深沢 誠
photo:羽田 洋
一度見たら忘れられない…トラックのようなフォルムが強烈な事業用電車、それがクモル145・クル144です。実車は引退してしまいましたが、その「模型映え」するカタチから鉄道模型では人気の高い形式です。
近年、事業用車も拡充してきた模型製品ですが、この特徴的な「クモル」も2014年に鉄道コレクションで発売され、先日「さよならクル・クモル」セットとしても再販されたのは記憶に新しいかと思います。今回はそんな鉄コレのクモルのイメージアップを実施。よりリアルに印象的なトラック電車を楽しんでいこうと思います!
■鉄コレをブラッシュアップ!
2014年に鉄コレで発売されたクモル145・クル144。それまでプラ製完成品が存在しなかった同形式の製品化は多くの注目を集めることとなりました。そんな鉄コレのクモル145ですが、一部実車と異なる点があるため、その部分に手を加えつつ、モデル化されていないJR東日本所属車をプロトタイプに加工を施してみました。
●屋根の加工
実車は屋根のRが201系などと同様に浅いタイプとなっていますが、モデルは103系と同等のやや深い屋根Rとなっていたので、ここをまず修正しました。とはいえ、高度な加工は施さず、屋根板を外して、201系の車体に合わせて強引に曲げて、その屋根に合わせて車体の干渉箇所を削る…というやや荒っぽい方法を取りました。これは屋根の長さが短いクモル145ならではの方法でしょう…。メリットとしては配管などのモールドをそのまま残すことができることです。なお、ヒューズ箱はTOMIX製、アンテナと信号炎管はグリーンマックス(以下GM)製品を使用しています。
●側窓の加工
製品は側面・妻面のHゴム窓がやや小さい印象となっています。調べてみたところ、103系の妻面窓が同じ寸法のようなので、開口部を拡大したうえでGMハイクオリティエコノミーキット用のパーツに交換(クモル1編成につき最低でも4両分が必要ですが…)しました。併せて、前面窓・前面方向幕や、側面のサッシ窓も同キットのものに交換しています。
●荷台天板の加工
製品の荷台は床板のパーツが少し分厚く、荷台が浅くなっている印象があったので、t0.3プラ板から自作した床板に交換しました。JR西日本所属車は床板に荷台の固定用のアングル材のようなものが追加されており、鉄コレ製品ではこれがあるため、実車資料をベースにアングルのないシンプルな形態を再現しました。また、実車は縞鋼板の滑り止めが全体に入れられてるため、Veltexのモールドデカール(タイプA・サイズS)を貼って模様を再現しました。
●その他の加工
製品は、〜11番までが該当する乗務員室扉下の凹みが大きいタイプで、東京地区にこのタイプは存在しなかったため、t0.3プラ板で凹みを縮小しました。また、別パーツで継ぎ目が目立っていた妻板を、接着の上溶きパテで継ぎ目を埋めました。
前面の連結器廻りが寂しい印象だったので、トレジャータウンのATS車上子と銀河モデルのATS・ATC受電器、GM製クモヤ145用ダミーカプラーに付属するジャンパー栓受パーツを装着しました。併せて連結器本体もクモルはGM製ダミーカプラー、クルは連結を考慮してTNカプラーに交換しました。
●塗装について
最後に塗装についてです。IPAで塗装を剥離し、まず警戒帯をGM12・黄色5号で塗装後、マスキングのうえでガイアノーツ1003・青15号を塗装。荷台部分は内壁と天板が灰色なので、タミヤのサーフェイサーを吹いてそれを再現しています。屋根はGM9・ねずみ色1号で塗装し、調色したエナメル塗料で配管などを色差し。パンタはミッチャクロンマルチで下地処理のうえ、前述のサーフェイサーで塗装しました。
レタリング類はレボリューションファクトリーからそのものズバリなクモル用が出ているのでそれを使用。車番はインレタに収録されている4番編成のものを選択しました。
■おわりに
そのスタイルから事業用車ながら多くの人に愛された「クモル145・クル144」。鉄コレでの製品化により手軽に入手できるようになったのは嬉しい限り。この記事を読んでいる皆さんもぜひ「自分だけのクモル」、お手元に一本いかがでしょうか?
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