185系

特集・コラム

10月の鉄道のデキゴト「伝説の白紙ダイヤ改正、よん・さん・とお(1968年)」

2021.10.04

text:RM

在来線特急網が大幅充実…!

 「○月の鉄道のデキゴト」は、当月にあった過去の鉄道の「デキゴト」(路線の開通や車両の新製・廃車、そのほかの事件など)を振り返るコーナーです! ティーブレイクにでも気軽にお楽しみください。

▲直流および60Hz交流対応だった581系につづき、この時に登場した583系は50Hz交流にも対応可能となり、初めて東日本地区に投入された。
下十条電車区 P:新井晃司(お立ち台通信より)

 本日は、53年前となる1968年10月1日のデキゴト。国鉄時代のダイヤ改正の中でも最も大規模なもののひとつと言われた、「よん・さん・とお白紙ダイヤ改正」がこの日に行われました。

▲「はつかり」の583系。先頭車は後年に登場のクハネ583形になっている(583系としての登場時はクハネ581形が継続製造された)。
‘82.2.27 東北本線 本宮~杉田 P:田中一弘(お立ち台通信より)

 東海道新幹線開業からちょうど4年。山陽新幹線岡山開業までもまだ4年ほどあり、この改正はほぼ完全に在来線の輸送力改善のためのものでした。1950年代から始まった高度経済成長の中、人々の移動の需要は増すばかり。国鉄ではそのために電化や複線化、新型車両の導入を段階的に行ってきました。その成果を基に、これら設備投資の効力を最大限に発揮するための全国的な白紙ダイヤ改正を行ったのです。その中でレイル・ファン的に特に興味深いであろう眼目は下記の通りです。

▲直流および60Hz交流対応の481系、直流および50Hz交流対応の483系の集大成として、この時に3電源対応の485系が登場。写真は同系によって電車化された「やまばと」。
‘72.11.12 東北本線 上野 P:後藤 篤(お立ち台通信より)

○東北地区の輸送改善
 この改正で東北本線盛岡~青森、奥羽本線米沢~山形が電化され、上野~青森の特急「はつかり」はそれまでのキハ80系から初登場の583系へ車両変更。上野~山形の特急「やまばと」はやはりキハ80系から初登場の485系へ車両変更。上野~会津若松の特急「あいづ」が485系で誕生(従来の「やまばと(会津若松編成)」を分離独立)。

▲実際にはよん・さん・とおより1ヶ月ほど早くデビューしていた711系も、この改正が本格デビューとなった。写真は試作車のS-901編成で、量産車と異なる二段窓サッシが特徴だった。
‘71.8 函館本線 美唄 P:佐藤直幸(消えた車両写真館より)

○北海道・函館本線電化本格開業
 北海道の国鉄線初の電化区間となった小樽~滝川間はこれに先立つ8月28日に暫定電化されていましたが、この改正で711系やED76 500番代が増備され、本格開業となりました。

▲169系は、試作車が165系900番代として登場して試運転を行っていたが、この時に量産車が登場(試作車も169系に編入)。写真は後年しなの鉄道に譲渡された車両が晩年にリバイバルで湘南色になった時のもの。
 ’10.12.17 しなの鉄道しなの鉄道線 小諸 P:楢井勝行(消えた車両写真館より)

○信越本線、横軽での協調運転本格開始
 EF63が峠区間専用機として推進・牽引を行っていた横川~軽井沢間では電車は8両編成までと制限されていましたが、協調運転可能な169系を投入することで急行「信州」「妙高」を12両編成化。この仕組みは後に特急用の489系、189系にも採用されました。

▲写真は1970年にキハ181系化された「つばさ」。初投入は中央西線の「しなの」だった。
‘76.8.12 東北本線 鶯谷付近 P:川瀬 剛(お立ち台通信より)

○中央西線でキハ181系「しなの」登場
 中央西線初の特急列車として、名古屋~長野間に「しなの」がこの時初登場のキハ181系で登場。大出力エンジンを持つ同系は後に奥羽本線や山陰地区、四国地区でも活躍しました。

▲EF66形の量産初号機となる1号機公式試運転時の模様 
‘68.7.26 東海道本線 平塚 P:髙澤一昭(お立ち台通信より)

○EF66形本格運用開始
 EF90形として試作機1両が登場していましたが、この時に量産機15両が登場し、最高速度100km/hの高速貨物列車用として活躍を開始しました。また、一般の貨物列車も2軸貨車の軸支持構造を2段リンク式へ統一(一部除く)することで、最高速度を65km/hから75km/hへ向上。北海道などに残された65km/h制限の貨車には黄色帯が入り、「道外禁止」といった標記が入るようになりました。

 この時期に登場した車両はいずれも現代に至るまで高い人気を誇るものばかり。「よん・さん・とお」がいまだにファンの口に上るのも無理のないところでありましょう。

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