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特集・コラム

9月の鉄道のデキゴト「都電荒川線・8900形営業運転開始(2015年)」

2021.09.02

text:RM

10年間で4形式登場…! 新車ラッシュだった荒川線

 「○月の鉄道のデキゴト」は、当月にあった過去の鉄道の「デキゴト」(路線の開通や車両の新製・廃車、そのほかの事件など)を振り返るコーナーです! ティーブレイクにでも気軽にお楽しみください。

8900形は8両在籍しており、2両ずつ色違いとなっている。写真はイエローの8908号車。
‘16.8.28 東京都交通局都電荒川線 荒川車庫前 P:福田智志(鉄道投稿情報局より)

 今回は、6年前となる2015年9月のデキゴトから振り返ってみましょう。東京都交通局で都電として残されている唯一の路線・荒川線で8900形が営業運転開始したのが9月18日のことでした。

▲荒川線の新車ラッシュ、怒涛の10年間のスタートとなったのはレトロ風電車の9000形。
‘15.1.15 東京都交通局都電荒川線 三ノ輪橋 P:羽山 健

 同線の車両は、1993年に8500形の新製が完了した後、しばらく大きな動きがなかったのですが、2000年代半ばから風雲急を告げます。まず、レトロ風デザインの9000形が2007年に登場。イベント車両として親しまれた6000形6152号車の後継ぎという要素もあり、もとより大量増備の計画はなく、2009年に追加の1両が登場して計2両が出揃いました。

▲全体に丸みを帯びたデザイン、灯火類も丸型の8800形。10両中の5両がこのローズレッドで、遭遇確率は最も高い。
‘20.4.4 東京都交通局都電荒川線 飛鳥山 P:生津弘毅(今日の一枚より)

 次に2009年に登場した8800形は、9000形で導入された最新の走行装置などを取り入れ、装飾要素などは簡素化。ただし丸みを帯びたボディや4色色違いのカラーリングなど、デザイン性は高いものとなっています。7500形を置き換える主力形式として2010年までに10両が登場しました。

▲「都電落語会」として、車内で落語を催す臨時列車が、8900形を用いて運転されたことも。
‘19.8.22 東京都交通局都電荒川線 飛鳥山〜王子駅前 P:奥田秀俊(鉄道投稿情報局より)

 その次が本稿の主題である8900形で、7000形を置き換えるやはり主力形式として前述の通り2015年9月に登場。8800形が丸みを帯びていたのに比べ、直線的なボディ形状が特徴です。4色色違いのボディカラーという楽しい要素はしっかり受け継がれています。しかし本来この形式は16両が導入予定だったところ、2016年までの8両で増備が打ち切られてしまったのです…。

▲本来は全廃される予定だった7000形は、大規模な走行機器・車内の更新によって7700形として生まれ変わって今も8両が活躍中だ。
‘16.8.28 東京都交通局都電荒川線 荒川車庫前 P:福田智志(鉄道投稿情報局より)

 その後を継いだのが7700形。この形式は、既存の7000形の車体を流用し、走行装置や車内を刷新したという成り立ちで、外観的には塗色こそまったく新たなモダンレトロ調とされていますが形態としては以前の7000形の面影が強く残っています。そもそもこの車体は1977~78年に掛けて、それまでの旧車体をワンマン運行に適した新車体に載せ替えたものでしたから、7700形への改造によって原形の7000形時代の部材はほぼなくなりました。2016~17年にかけて8両が登場し、ボディカラーは3色色違いとなっています。本形式登場によって7000形はすべて消滅し、荒川線の電車はすべてVVVFインバータ制御車となりました。

▲7000形引退を記念した「ありがとう7000形イベント」で、7022、7002、そして7001号車が展示された。
‘17.6.11 東京都交通局荒川車庫 P:RM(取材協力:東京都交通局)(台車近影より)

 9000・8800・8900・7700形は2007~17年までの11年間で出揃ったことになり、この間の荒川線の車両動向が非常に激しかったことがわかります。そしていまや5形式・14カラーバリエーションという、大変バラエティ豊かな陣容が揃っているのです。気軽に乗れてちょっと楽しい荒川線。次の週末にでも訪ねてみてはいかがですか?

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