185系

特集・コラム

8月の鉄道のデキゴト「京成電鉄本線・青砥~京成高砂間複々線化(1985年)」

2021.08.26

text:RM

■わずか1駅間ながら、その効果は絶大…!

 「○月の鉄道のデキゴト」は、当月にあった過去の鉄道の「デキゴト」(路線の開通や車両の新製・廃車、そのほかの事件など)を振り返るコーナーです! ティーブレイクにでも気軽にお楽しみください!

▲複々線区間のダイナミズム…! どちらの電車も成田空港行きだ(写真右が京成本線経由、左が成田スカイアクセス線経由)。
‘19.11.17 京成電鉄本線 青砥〜京成高砂 P:太田貴文(今日の一枚より)

 今回は、36年前となる1985年8月のデキゴトから振り返ってみましょう。京成電鉄本線の、青砥~京成高砂間の複々線化が完成したのが1985年8月12日のことでした。この区間、わずか1駅間ながら線形の特徴からその効果は絶大。というのも、上り方である青砥駅は本線と押上線との分岐駅、下り方である京成高砂駅は本線と金町線、後には北総鉄道との分岐駅であり、この駅間での本数が非常に多くなるからです。そのボトルネック解消がこの複々線化の最大かつ唯一の目的であり、これ以上に延伸する計画はもとより存在せず、今なお京成電鉄唯一の複々線区間となっています。

▲青砥駅の下り線ホームは1982~83年にかけて高架化された。懐かしい都営5000形(旧塗装)や京成のファイヤーオレンジ塗装の電車も乗り入れている。
‘84.8 京成電鉄本線 青砥 P:田中 友(消えた車両写真館より)

 さて当区間の両端となる2駅ですが、複々線化によって大変貌を遂げたのは青砥駅の方。それまでは地平の2面4線配置で、本線と押上線の電車が平面で交差していました。これを大規模高架化により、2Fに上り線(1面2線)、3Fに下り線(同じく1面2線)を配置。平面交差をなくしたのです。なお、方向別のホーム配置は地平時代から実現しており、その便利さは高架化後も受け継がれています。

▲都営地下鉄浅草線を通じて京成線へ乗り入れる京急新1000形1800番代。青砥で折り返す運用があり、専用の引き上げ線も設置されている。
‘16.6.17 京成電鉄本線 青砥 P:福田智志(鉄道投稿情報局より)

 想像通りこの工事はかなり長期に及ぶもので、1972年に着工、元の駅を解体するために一時的に仮駅を京成高砂寄りに設置し、解体後元の場所にまた仮駅を設置。その上空で高架駅が建設されたといいます。1982~84年にかけて、順次高架ホームの供用が開始され、前述の通り1985年に複々線化。一連の工事の最終的な竣工は1986年10月とされており、実に14年がかりの大プロジェクトだったのです。

▲「スカイライナー」が複々線の中川橋梁を渡って京成高砂駅へ入線してくる。
‘18.11.23 京成電鉄本線 青砥~京成高砂 P:君島弘道(今日の一枚より)

 一方で京成高砂駅は高砂車庫との入出庫の関係もあり地平駅のまま現在に至っています。1991年に北総開発鉄道(現・北総鉄道)の乗り入れが開始、2010年に金町線が高架ホームに移った(同時に本線との直通運転の廃止)のがその後の大きな動きですが、「開かずの踏切」を問題視し、高架化を模索する動きもあるようです。

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