185系

特集・コラム

今こそ!京王線を駆けた6000系・デワ600形・7000系Nゲージを工作する!

2021.08.25

photo:羽田 洋

 2021(令和3)年3月で京王6000系が引退してから10年が経ち、デワ600形の引退からも5年、今や7000系が京王電鉄の最古参系列となりました。今回はそんな3系列のNゲージ作品を紹介。製品キットの重加工からプラ完成品の前面・床下機器廻りの軽度の加工、さらに金属キットの組立作例もご紹介したいと思います。

■各部を金属パーツ化しディテールアップ!GMキットから6000系の変則的な6803+6806編成を再現!

製作:小林晃大

 304両が製造され、各駅停車から優等運用まで幅広く使用された京王6000系。1998(平成10)年から廃車が発生し、事業用車に改造されたデワ600形以外は2011(平成23)年までに引退しました。
 編成替えが何度か行なわれたことも同車の特徴と言えますが、その中でも特筆すべきなのがこの変則的な6803+6806編成です。今回はこの編成をプロトタイプとしました。この編成は3両編成2本(6803編成・6806編成)のうち前者は下り方、後者は上り方の先頭車を外し、さらに5両編成(6703編成)の中間車1両を電装解除のうえ、挟み込んで5両編成としたもの。9000系が登場して廃車になるまでのわずか2年ほどしか存在しなかった異色の形態です。

 今回はこの編成をグリーンマックス製のエコノミーキットをベースに、各部を金属パーツに置き換えてディテールアップすることにしました。大掛かりな改造はしていませんが、古い製品のため実写と異なる箇所も散見されたため、逐次修正しながら組み立てていきました。

▲クーラーの種類やパンタの有無でバリエーション豊かな屋根上となっている。

 京王の中でも6000系は比較的バリエーションが豊富で模型的にも楽しめる題材とも言えます。この5両を足掛かりに2両編成や5ドア車など多彩なバリエーションに挑戦するのもいいかもしれません。

■2016年に引退した先代の事業用車をモデルで残す!デワ600・クヤ911形/チキ290形金属キットを組み立てる!

製作:糠信元樹

 1995(平成7)年から事業用車として運用していたデワ5125Fの代替としてデハ6107・デハ6407・デハ6457がデワ600形電動貨車に改造されました。当初はP T-4201パンタグラフを搭載していましたが、2009(平成21)年よりPT-7110シングルアームパンタグラフに交換され、後継のデヤ901・902形のデビューにより2016(平成28)年に役目を終えました。
 組み立てたキットは、2010(平成22)年にJNMAイベントで発売されたBONA FIDE PRODUCT製のキット、デワ600・クヤ900形4両セットと翌2011(平成23)年に発売された京王チキ290形を使用しました。今回は廃車になる数年前の仕様をプロトタイプとしています。

▲デワ5000形の代替として2004年に登場したデワ600。レールや資材輸送は沿線住民が寝静まった深夜に始まる。 

▲チキ290全景。チキ同士の連結は棒連結のため、密連を使うことで雰囲気を出している。

▲デワ600・クヤ900形の全景を見る。製品(クヤ911除く)では菱形パンタグラフ用配管なので実車を参考に配管位置を変更している。

 実車は廃車回送後すぐに解体されてしまった同車ですが、そのような車両でもこうして手元に残しておけるのが模型の魅力でもあります。金属キットではありますが、スキルアップのためにチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

■完成品をベースに製品化されていない現在の7000系の姿を再現!

製作:澁谷 悟

 7000系のNゲージは、マイクロエースから数回発売されていますが、いずれも界磁チョッパ制御時代のやや古めの姿をしています。そこで、既製品をベースに加工を行ない、7000系を現在の姿へと変身させてみることにしました。
 ベースとした車両は数年前に再生産が行なわれ、比較的容易に手に入るマイクロエースの「新塗装・基本8両セット(A3758)」のうち6両と、「同・増結2両セット(A3782)」を使用して、主に各駅停車に使用されている2両+6両の8両編成を再現しました。この製品から手を入れる点は、なんといっても下廻りのVVVF化とパンタグラフの交換ですが、そのほか市販のパーツや素材を使用し、ディテールアップも行なっています。ただし、せっかくの綺麗な完成品ということで、製品そのものの車体塗装は活かしたままできる範囲の加工とし、効果的ながら気軽に取り組める仕様になっています。

▲ガラスとスカートの交換、ワイパーの別体化により、前面の印象は大幅に向上している。

▲VVVF化された下廻りの再現はこの作例の目玉。使用したパーツは主にGM製の各京王電車用のもので、各機器類を新5000系用、8000系用、1000系用からそれぞれ流用している。

 

 この記事は2021年7月発売の「京王電鉄完全ガイド」の記事から作品を抜粋しております。京王現行車両5形式+事業用車両の徹底解説の他、地方私鉄に譲渡された京王の車両や往年の名車解説なども収録。また、この記事の3形式をはじめとした京王の新旧形式のNゲージ作例ガイドも多数掲載!
 京王電鉄ファン垂涎の1冊となっています!

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