185系

特集・コラム

第3回「『新特急』誕生以後の上野口」

2021.03.05

 上野口の185系は、1985年3月のダイヤ改正以降大きな変化を遂げることとなる。このダイヤ改正から東北新幹線の上野~大宮間が開業し、それと同時に本形式を用いた「新特急」が運行を開始した。また、その2年後の1987年には国鉄分割民営化によりJRが誕生し、通勤需要などに特化した列車が「新特急」の列車網を基盤に運転された。さらに、1980年代後半の第3次スキーブームをきっかけに「シュプール号」などのスキー臨時列車が各地に運転されるなど、上野口の185系がバリエーション豊かな活躍を見せていた時代でもあった。今回は1985年3月ダイヤ改正以降、上野口で185系が活躍した列車たちを振り返っていく。

■1985年ダイヤ改正以降の列車

 1985年3月のダイヤ改正で、東北・上越新幹線の上野~大宮間の開業に伴い「新幹線リレー号」が運行を終了した。この「新幹線リレー号」に用いられた、185系200番代を使用した新たな近距離特急として列車名に「新特急」の冠をつけた列車群が運行開始した。なお、この「新特急」は、編成のほとんどが自由席で設定されており、定期券で利用可能となっていた。また、「新特急」の名称は2002年まで用いられた。

●L特急「新特急なすの」

▲上野駅に停車中の特急「新特急なすの」。東北本線の近距離急行を統合・格上げする形で設定された。

’86.8.13 東北本線 上野 P:田中博憲
185系思い出ギャラリーより

185系での運転時期:1985~1995年
運転区間:上野・新宿~黒磯

 1985年3月のダイヤ改正で東北本線に設定された「新特急」の一つ。1995年に後述の「新特急おはようとちぎ」と「新特急ホームタウンとちぎ」に一部分離の上、「なすの」の愛称は新幹線の列車名となっている。なお、後述の「新特急」も同様であるが、列車種別としては「特急」として運行された。

●L特急「新特急あかぎ」・特急「あかぎ」

▲列車愛称の変更などは行われなかったが、ヘッドマークデザインが変更された。

’90.9.9 高崎線 大宮 P:大森岳人
185系思い出ギャラリーより

185系での運転時期:1985~2014年
運転区間:新宿・上野~高崎・前橋・渋川

 1985年3月のダイヤ改正で急行「はるな」と特急「あかぎ」を統合し、L特急化した列車。2002年まで、特急「なすの」と同じく「新特急」が列車名の冠につけられた。

●L特急「新特急谷川」・「新特急水上」・特急「水上」

▲定期運用では水上までの運転となっているが、多客期には石打・越後湯沢まで延長運転も行われた。

’89.4.4 上越線 上牧~後閑 P:三枝信一郎
185系「踊り子」最終章より

185系での運転時期:1985~2014年
運転区間:上野~水上・石打・越後湯沢

 他の「新特急」同様、1985年に上野~水上間に設定された特急列車。登場時は「新特急谷川」として設定されたが、その後、1997年に「谷川」の愛称は上越新幹線の列車名となり、「新特急水上」に変更された。

●L特急「新特急草津」・特急「草津」

▲ほかの「新特急」同様、ヘッドマークに「新特急」の文字が入っている。

’87.1.2 東北本線 上野 P:大森岳人
185系思い出ギャラリーより

185系での運転時期:1985~2014年
運転区間:上野~長野原草津口、万座・鹿沢口

 特急「白根」と急行「草津」を統合する形で誕生した特急列車。運転区間は両列車を引き継いでおり、列車名には急行時代の「草津」が用いられた。

●快速「信州リレー号」

185系での運転時期:1988~1994年
運転区間:長野~高崎

 長野新幹線開業以前、長野からの新幹線への乗り継ぎ列車として、始発の上り特急「あさま」より先に1本のみ設定されていた快速列車。なお、本列車は上野口のほかの普通列車同様グリーン車が普通車自由席として開放されていたことから、「青春18きっぷ」ユーザーに人気の列車だった。

■上野口の「ライナー」

▲高崎線・東北本線の両線に存在した「ホームライナー」。185系のほかにも489系などが充当された。

’09.6.25 東北本線 尾久~赤羽 P:永山雄輝
185系思い出ギャラリーより

●「ホームライナー鴻巣」

185系での運転時期:1989~2014年
運転区間:新宿・上野~鴻巣

 1984年に東大宮操車場(現:大宮総合車両センター東大宮センター)に入区する特急「あさま」・「白山」の回送列車を活用した、座席定員制列車「ホームライナー大宮」が運転開始した。その運転区間を延長した高崎線の「ホームライナー」。1989年から185系で運転が開始され、2014年のダイヤ改正で普通列車と後述の「スワローあかぎ」となった。

●「ホームライナー古河」

185系での運転時期:1992~2014年
運転区間:新宿・上野~古河

 先述の「ホームライナー鴻巣」同様、「ホームライナー大宮」の運転区間を延長する形で運転開始した、東北本線の「ホームライナー」。1992年から185系での運転を開始し、2014年のダイヤ改正で普通列車となった。

■1990年代に誕生した列車

●特急「新特急おはようとちぎ」・「おはようとちぎ」・「新特急ホームタウンとちぎ」・「ホームタウンとちぎ」

’10.11.3 東北本線 片岡~蒲須坂 P:村松且富
185系思い出ギャラリーより

185系での運転時期:1995~2010年
運転区間:新宿~宇都宮・黒磯

 先述の「新特急なすの」のうち、朝の上り2本を「おはようとちぎ」、夜の下り1本を「新特急ホームタウンとちぎ」として一部分離する形で1995年に運転開始した列車。土休日には「新特急おはようとちぎ2号」を延長運転する形で「新特急おはようとちぎ&かまくら」が運転されていた。

●特急「新特急ウィークエンドあかぎ」・「ウィークエンドあかぎ」

▲上野発着の特急「あかぎ」とは異なるヘッドマークが用意された。

’16.3.20 高崎線 倉賀野~新町 P:オクラ
185系思い出ギャラリーより

185系での運転時期:1994~2010年
運転区間:新宿~前橋

 特急「あかぎ」のバリエーションの一つで、新宿発着で土休日に運転された。1994年の運行開始時には「新特急」の愛称がついていた。列車設定は、上り列車が午前、下り列車が午後の運転となっており、東京都心への買い物客を意識した列車設定となっていた。また、平日発着の列車には「新特急さわやかあかぎ」の愛称がついていたが、2002年に特急「あかぎ」に吸収された。

●特急新特急ホームタウン高崎」

185系での運転時期:1993年~2002年
運転区間:新宿~高崎

 平日下り列車のみの運行となっており、「ホームライナー」同様のコンセプトで運転された特急列車。2002年に特急「あかぎ」に吸収される形で運行終了した。

●特急「スワローあかぎ」

▲わずか2年ほど見られた185系「スワローあかぎ」。

’16.3.25 高崎線 北本~鴻巣 P:竹林昌平
185系思い出ギャラリーより

185系での運転時期:2014~2016年
運転区間:上野・新宿~前橋

 2014年に「ホームライナー鴻巣」の一部を格上げする形で運行開始した全席指定の特急列車。一部列車が185系で運転され、専用のヘッドマークも用意されたが、2016年に651系に全列車統一され185系での運転は終了した。

■スキー列車の時代

 1980年代後半の第3次スキーブームの到来により、JR各社もスキーリゾートへのアクセス列車として、急行「シュプール号」などを運行開始した。運転区間は主に首都圏・関西圏と上越、信越、東北方面を結ぶものが多く、その中でも185系は1990年代から主に首都圏発上越方面行の列車に充当された。この項目では、その運転区間と運転期間を主に紹介していく。

▲冬シーズンに多く運転された急行「シュプール号」。
その中でも「シュプール上越」は列車によって発車駅が異なるなどバラエティ豊かな列車となっていた。

’99.3.28 上越線 岩原スキー場前~越後中里 P:桑原浩幸
185系思い出ギャラリーより

●急行「シュプール上越」

185系での運転時期:1993~1999年
運転区間:大船・上野・品川~小出

●急行「シュプール草津・万座」

185系での運転期間:1994~1998年
運転区間:大船~万座・鹿沢口

●急行「アルペン上越」

▲2001年冬にのみ運転された「アルペン上越」。運転経路などは急行「シュプール上越」を引き継いでいる。
ヘッドマークはステッカーではあるものの、オリジナルのものが掲げられた。

’01.1.7 上越線 水上~上牧 P:桑原浩幸
185系思い出ギャラリーより

185系での運転期間:2001年
運転区間:上野~小出

●臨時快速「シーハイル上越」

▲全席指定の臨時快速として運転された。185系には専用のヘッドマークが用意されておらず、「臨時快速」の方向幕を表示していた。

’16.2.6 上越線 越後中里~岩原スキー場前 P:サンダース軍曹
185系思い出ギャラリーより

185系での運転期間:2014~2016年
運転区間:大宮~石打

🔶第2回「新特急登場前の上野口」
🔶第4回 中央本線・武蔵野線を走った185系

■関連記事

🔶第9回 新特急の登場と国鉄からJRへ

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