■153系の置き換え完了と急行「伊豆」の特急化
185系は1981年7月までに、全115両が田町電車区に搬入され、153系との併結も解消されることとなった。
当初の予定どおり1981年10月改正から、L特急の運転が開始されることになった。新たな伊豆への特急網を「高速列車体系整備」と位置づけ、従来の急行「伊豆」から一新してスタートさせるため東京南鉄道管理局も力を注いだ。
▲東海道本線を走る特急「踊り子」
’83.12.31 東海道本線 保土ヶ谷~東戸塚 P:松尾よしたか
特に愛称名については本社と協力して公募によることとし、多くの応募作から「踊り子」と決定した。当時の特急列車の愛称名は多くが鳥の名や自然を採用したものがほとんどのなかで、文学作品のタイトルをモチーフとしたインパクトの強いものになった。これまで183系で運転していた特急「あまぎ」2往復もこのネットワークに組み込まれ、表1に示す列車設定となった。
表1 1981年10月1日改正 東海道・伊東線 L特急「踊り子」列車体系
資料提供:大熊孝夫
■新しい形の特急型車両
これだけ列車体系を整理しても、なお特急設定本数が下り10本、上り11本とアンペアとなっているのが、前記した急行「伊豆」に引き継がれて来た歴史を残している。このため当然のことながら、東京〜伊東間に普通列車か回送列車を設定しなければならないことになる。実際には早朝に下り普通列車伊東行きを設定して運用形成することとした。
▲普通列車の運用に就く185系。
’99.5.23 東海道本線 早川~根府川 P:大森岳人
(ありがとう185系思い出ギャラリーより)
また、停車駅については、全列車とも急行「伊豆」時代のものを全面的に踏襲したため、従来の183系による特急「あまぎ」に比較して東京〜伊豆急下田間で6分程度の到達時間増となったが、急行「伊豆」に対しては17分程度の短縮となり特急の体面を保った。
運転を開始した185系の斬新な車体カラーは伊豆の明るさに良く似合った。従来は急行であったのが特急となり料金が高くなるという批判もあったが概して利用客の反応は良かった。特急といえば重厚な車両であるという従来の考えから、比較的短距離の特急では、このような車両も受けいれられるということを改めて認識した。また、乗務員室が広くとれたことから運転士・車掌からも好評であったことを記憶している。
L特急「踊り子」運転開始時の田町電車区185系の電車運用図表はの表2のとおりである。113系化した列車が分離された後であるから規模は小さくなったとはいえ、185系がローカルと「踊り子」でフル回転している状況は何も変わらなかった。
表2 1981年10月ダイヤ改正東海道・伊東線183・185系特急電車運用図表
資料提供:大熊孝夫
本文:大熊孝夫 要約・再構成:RM レイル・マガジン334号より
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