取材日:’21.1.8
text:RM
photo(特記以外):月刊とれいん
2020年1月8日、品川開発地区で出土した日本最古の鉄道遺構の一つ、「高輪築堤」が報道陣に公開された。遺構の一部は橋台などの形をはっきりと残しているほか、石積みも非常に良好な状態で出土したため、大きな話題となっていた。
■日本初の鉄道、新橋~横浜間の一部だった「高輪築堤」
1872年、日本初の鉄道として開業した新橋~横浜間の一部である高輪築堤は、鉄道敷設する用地が内陸部に確保できなかったことなどから、当時は海上であったこの場所に建設された。築堤は建設当初は下の錦絵のように単線で敷設されたがその後、1876年に複線化、1899年には3線化され海側に拡張されている。
高輪築堤が100年の永い眠りについたのは、品川地区の車両基地が整備された1914年だ。その後、この場所には山手線・京浜東北線が敷設され、高輪ゲートウェイ駅開業に伴う経路変更により本地域が再開発され始めた現在、高輪築堤は再びその姿を現した。
高輪築堤現役当時の錦絵。海の上を走る高輪(高縄)築堤の様子がしっかりと描かれている。
鉄道博物館提供
高輪築堤の出土箇所(JR東日本プレスリリースより)
■出土した高輪築堤を見る
高輪築堤は、多くの錦絵や浮世絵などに描かれたが、先述の1914年の埋め立てによってその正確な位置が分からなくなっていた。したがって、今回の高輪築堤の出土は日本の鉄道黎明期の様子を知ることが出来る大きな発見となった。
今後は、JR東日本の進める「品川開発プロジェクト」の中で港区、鉄道博物館と連携して保存・活用の方法を検討していくとのこと。
なお、1月10日(土)~1月11日(月・祝)に現地見学会の様子はJR東日本の公式YouTubeチャンネルで配信される予定。