特集・コラム

列車で目覚める朝「WEST EXPRESS銀河」一番列車乗車記Vol.2

2020.09.25

text&photo(特記以外):ユージ

▲朝日を浴びながら生山駅に入線する「WEST EXPRESS 銀河」

‘20.9.12 伯備線 生山 P:木村行啓(今日の一枚投稿から)

■目覚めは中国山地の夜明けとともに
 朝5:30、国鉄型電車特有のモーター音と揺れが枕元に響いていた。窓の外にはぼんやり明るい朝の空が広がっている。目が覚めてしばらくしてから、ようやくここが家のベッドではなく列車の中だということを思い出した。こんな朝の目覚めも夜行列車ならではだろう。窓の外には中国山地の山々が広がっている。列車はもう鳥取県に入っていた。
 列車は6:02に朝一番の停車駅、伯備線の生山(しょうやま)駅に到着した。生山駅は山間の小さな駅で、ドアが開いた瞬間に心地いい山の香りが目を覚ましてくれた。

▲山間の駅、生山に到着。澄んだ朝の空気が目を覚ましてくれた

 さらに、ホーム上では朝早い時間にもかかわらず、地元の鳥取県日南町の方が出迎えてくれ、地元の特産品であるトマトをつかったお土産が販売されていた。朝にぴったりなトマトジュースはもちろん、トマトチョコなどユニークなものも多く、お土産にもってこいなラインナップだった。

▲地元の方がホームでお土産を立ち売り。特産のトマトを使ったものが中心。

■朝のコーヒーは中国地方最高峰「大山」を望みながら
 生山駅を出ると私は昨晩の長時間停車中に買ったコーヒーを飲みながら、フリースペース「遊星」で朝のひと時を過ごした。大きい窓からは、日野川沿いに広がる山陰の雄大な山の風景が流れている。ぼんやりと外を眺めていると、進行方向右側に大山(だいせん)が望めると車内アナウンスが流れた。空はだいぶ曇っていたが、雲の合間から大山が見えた。標高1,729m、中国地方最高峰の言わずと知れた名峰である。

▲中国地方最高峰の大山。古くから山岳信仰の対象としても崇められてきた。

 見える面こそ異なるが、かつての山陰方面の夜行列車の乗客たちもこの光景を見ていたのだろうか。そう思うと思わず胸が熱くなった。しかし、日本海側に近づくにつれて曇り始め、ぽつぽつと雨が降ってきた。

■国鉄時代を思わせる米子駅
7:46。雨の中、米子駅に到着した。つい先日、駅舎の建て替えのため仮駅舎に移ったと聞いていたが、国鉄時代の面影を残した旧駅舎が残っており、駅裏に広がる車両基地や扇形車庫なども雰囲気たっぷりで「WEST EXPRESS銀河」のシックな外観にとても似合っていた。ホームに降りると、歓迎セレモニーが開催され、米子市長が直々に挨拶するという熱烈な歓迎を受けた。

▲当時は標準的だった国鉄の大規模駅舎も今は貴重な存在。米子駅でも一部建て替えが決定した。

 8:18に米子駅出発後、配られた朝食の銀河特製幕の内弁当をクシェットのシートに座って食べた。フリースペースで食べてもよかったが、せっかく夜行列車に乗っているのだから、昔、B寝台のベッドに座って食べたあの頃に戻ってみようと思った。窓の外には島根半島の広々とした風景が流れている。

▲米子駅を出て配られる「銀河幕の内弁当」。弁当紅ズワイガニ、銀鮭や大山鶏など鳥取県産のものがふんだんに使われている

 強めの雨が降る中、「WEST EXPRESS銀河」は安来駅、松江駅と停車し、行く先々で地元の方に見送られながら出雲市を目指して走っていった。松江駅を過ぎると、右側に宍道湖が見えた。この日はあいにくの天気だったが、晴れていたらきっと朝日に照らされた湖面がきれいだろうなと考えながら車窓を眺めていた。宍道湖を過ぎると旅もそろそろラストスパート、出雲市まですぐのところまで来ていた。

■神々の国、出雲へ
 終着に近づくにつれ、車内は降りる支度をする人であわただしくなってきた。しかし、今回はそれだけではなかった。大雨の影響で出雲市~江津間で運転を見合わせており、本列車も所定の時刻よりも7分ほど遅れており、それもあって車内はざわついていたのだ。
 雨が強く降る中、ようやく終着の出雲市駅に到着した。ホーム上では多くの人が「WEST EXPRESS銀河」の到着を待ってくれていた。改札を出ると、駅員さんたちが旗を持って出迎えてくれた。多くの人たちに迎えられながら出雲市駅を出ると、私は一畑電車の出雲市駅へ向かった。

 ▲出雲市駅に到着した「WEST EXPRESS銀河」

■出雲市駅を降りたらココ!おすすめ散策コース
「WEST EXPRESS銀河」の京阪神発のDコースの帰りは出雲市を16:00発となっている。往路と同じく出発の30分前には集まらなければならないので、滞在できるのは約6時間程度となっている。
 おすすめは一畑電車で行くことの出来る出雲大社や、レイル・ファンとしては、やはりはずせない旧大社線の大社駅だろう。
 大社線は出雲市駅の西側から分岐し、出雲大社へのアクセス線としての役割を果たしていたが、1990年に廃止となった。かつては、夜行急行「だいせん」なども発着した駅となっている。旧大社駅で、山陰方面の夜行列車に思いを馳せるのもいいかもしれない。

▲縁結びの神としても知られる出雲大社

▲荘厳なつくりの大社線、旧大社駅

▲かつて夜行列車も発着した大社駅のホーム。非常に広々としている

🔶出雲市16:00発→大阪駅翌6:12着「WEST EXPRESS銀河」一番列車乗車記Vol.3

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