185系

特集・コラム

船でのんびり巡る琵琶湖疎水

2025.06.08

text & photo:諸富光法

▲第一トンネルの出口。この瞬間はまるで額縁の景色のようだ。

 

前回の記事はコチラ

 琵琶湖疎水の琵琶湖~鴨川合流点までを辿る旅。前回の記事では三井寺~第一トンネルを紹介しましたが、今回は第一トンネルを抜けた所から諸羽トンネルまでを紹介します。

 約2.5kmもある第一トンネルを抜けると、開けた区間が多くなります。左側には東海道・湖西線がおおむね並行しており、時折列車の走行音も聞こえます。この先、トンネルが3本待ち構えており、扁額やポータル、トンネル断面などの個性も見どころです。また、疎水の左側(南側)には歩道ががあり、地元の方の散歩コースとなっているようで、ジョギングしている方をよく見かけます。

 

▲ここからは比較的開けた水路が続く(左写真)。護岸はコンクリートで補修されているが、その上の石垣はそのまま残っている。途中に低い水門があり、船が低いのはここを潜るため(右写真)。

 

▲藤尾橋を通過。橋台は当時のもので、船からの目線ではよく見える。

 

 第一トンネルの次に待ち構えるのは諸羽トンネルです。実はこのトンネル、疎水の建設当初にはなかったもので、ルート変更により建設されました。というのも、この区間は山を避けるように山裾に沿って南側を迂回していましたが、湖西線を建設する際にルートが干渉してしまうため、1970年にトンネルでバイパスさせました。そのため、コンクリート製でトンネル断面も大きく、他のトンネルとは雰囲気が異なっています。

 

  

▲諸羽トンネル左側のコンクリートで埋め立てられた部分が旧ルートの入口で、左にカーブして前方の山を迂回していた(左写真)。諸羽トンネルは戦後の建設だけあって、何の変哲もないコンクリートトンネルのいで立ち。断面が大きいのが分かる(右写真)。

 

▲諸羽トンネルの手前には、右側に船溜が整備されている(左写真)。諸羽トンネルは断面が大きいため圧迫感が少ない印象だ(右写真)。

 

 諸羽トンネルは断面が大きいので、第一トンネルに比べると船の航行にも余裕があり、壁面が遠く感じます。明治時代と昭和の時代の技術の差、いや技術の進歩を感じ取ることができます。なお、このトンネルでショートカットしたことにより、当初より約260m短縮されています。鉄道や道路でもありがちな、新線や新道への切り替えによるショートカットと同じようなイメージですね。旧ルートは埋め立てられていますが、グーグルマップからは痕跡がよく分かるので、興味がある方は探してみてはいかがでしょうか。さて、トンネルを抜けるとしばらく地上区間が続きますが、今回はここまで。・・・(次回へ続く)。

 

▲この先トンネルを抜けると、また明治時代の本来のルートに戻る。

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