text:鉄道ホビダス編集部
▲有志によるクラウドファンディングにより、京急時代の色がリバイバルされた1200形(左)と1080形(右)。
’20.9.23 高松琴平電気鉄道琴平線 太田 P:綿貫勝也
(鉄道投稿情報局より)
香川県を走る高松琴平電気鉄道(通称:ことでん)。高松から琴平へ向かう「琴平線」と、瓦町から長尾方面へ分岐する「長尾線」、同じく瓦町から志度方面へ分岐する「志度線」の3路線が運行されていますが、そこを走る車両たちはいずれも懐かしいものばかりです。
■京急・京王・名古屋市営地下鉄の車両が一堂に会する
現在、ことでんで運行される車両の全ては譲渡車両によるものとなっており、元京急、京王、名古屋市営地下鉄の車両たちが活躍しています。いずれも抵抗制御車となっており、現在鉄道業界で主流のVVVFインバータ制御車は在籍していません。
ことでんでは長い間在籍車のほとんど(ごくわずかながら自社発注車も存在)が譲渡車で賄われており、昔より各地の多種多様な電車たちが勢揃いしていたことから、「動く博物館」のように言われることも。現在は特に京急の旧型車両が多く活躍しており、元1000形(初代)となる1080形・1300形を始め、元700形の1200形、また60年以上の車齢を誇る元600形(2代目)の1070形も在籍しています。こうした古い電車が以前より多く活躍することから、レイル・ファンからも注目を集める地方私鉄でもあります。
■京急車はリバイバルカラーも
そんな京急車たちの一部では有志によるクラウドファンディングで、度々リバイバルラッピングが施されました。2019年には1080形が「還暦の赤い電車」として、2020年には1200形が「情熱の赤い電車」、2022年には「追憶の赤い電車」としていずれも目標金額を達成し、リバイバルされました。その他にも、2022年には1080形譲渡当時の「ファンタンゴレッド」と呼ばれる塗装に復刻され、「ことでんとしてのリバイバルカラー」も実現しました。
■今後の置き換え計画は?
とはいえ、いずれの車両も老朽化した旧型車であることに変わりはなく、時代に合わせて車両の更新を考えなくてはならない時期となっていました。レイル・ファンの間では、京急で順次新型車両に置き換えられつつある1500形の譲渡が有力視されることも多かったですが、ここに来て新造車両が導入されることが県の予算資料より判明しています。車両更新自体は2025年度から行なうとしており、その姿を現すのももうすぐでしょう。
新型は「バリアフリー化された車両」とされており、車齢50年を超える大ベテランたちが数多く活躍することでんでは、車両更新により一気に近代化が進むとみられます。昔懐かしい電車たちを日常的に楽しむことができるのも、あとわずかかもしれません。
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四国・香川県の高松市周辺に3つの路線を持つ高松琴平電気鉄道(琴電)の、創業時から1980年代に導入された吊掛駆動電車までを取り上げる本書、下巻では比較的記憶に新しい1960年代以降の譲渡車両について解説します。終戦直後の貨車までを電車に改造していた混乱期を脱し、阪神や京急など改軌工事の不要な標準軌の大手私鉄からまとまった数の車両が入線することで、琴電の車両近代化は急速に進んでいきました。
元阪神の「喫茶店」と呼ばれ親しまれた30型(二代)、元名鉄3700系の1020型、元京急230形の30型(三代)を中心に、元東濃鉄道や元山形交通、元玉野市電など種々雑多な車両の混在が魅力であった当時の吊掛駆動電車について解説します。
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